暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
災を堕とす者達
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…船から脱出する時に、私達が少しだけ残ってたでしょ?あの時私、リラちゃんと別行動してたんだけど、たぶんその時に――――」
「……抜き取った?」
「た、たぶん」
なんとまぁ、とレンは思わずにはいられなかった。
記憶が正しければ、あの爆弾は確かイベント限定の。しかも絶対に爆発させてはならない系のアイテムだったはずだ。つまり運営側としては端から武器としては視野にいれていないのである。だから船から爆弾を強奪したとしても、陸で強制回収などという形をとっているのだ。
今回のリラの行動が本当だとすれば、彼女のしたことはバグ――――まではいかないが、システムの抜け穴と言っていい。
下手をすればアカウントに関わることにもなりかねない行為に少年が思わず眉を顰めると、隣のミナがそれを読んでいたかのように、普段の彼女らしからぬ強い口調で口を開いた。
「私達の
GGO
(
世界
)
を荒らしまわってるのがワケわかんない力なら、私達の使う力は絶対にこの世界が持ってる力って決めたの」
あなたのせいじゃない、と。
言外に言われ、続けようとしていた言葉の大半が流された。
閉口するレンにくすりと笑いかけると、今度は一転して表情を曇らせてミナは続けて口を開く。
「で、でも……あの装甲。いくら貫通力じゃGGO屈指の《
吸血鬼
(
ヴァンピール
)
》でも、本当に貫けるのかな?」
「たぶんそれは問題ないと思う」
轟音と光芒、岩石の飛び交う戦場のただ中を駆ける少年は、チラリと上方――――肩口にとりついているユウキに向かって煩わしげに腕を振りかぶるマークUの巨体を確認する。
実はシノンの感じていた、脅威を感じない、というのは間違っていない。
通常VRワールドでは《オーラ》などというものはオカルトめいた存在と認知されているが、それでも擁護派というものは存在している。その擁護派の提唱する根拠の中に、《情報圧》というものが存在する。
例えば初心者と廃人のアバターが内包する、スキルデータや装備データにはもちろん偏りがある。その蓄積したデータ量から生まれた誤差とさえ言えない僅かなラグを、玄人プレイヤーには感知しているというものだ。
その情報圧――――蓄積した経験値のようなものが、眼前の巨体からは微塵も感じられないのだ。
急造品な粗悪品。
アインクラッドを長きに渡って猛威を振るい、歴代所持者達の力や経験値を貪り喰らった初代《災禍の鎧》とは雲泥の差だ。
それも当然か。
コレにはもう、中身がないのだ。
今まで圧倒的な暴力を撒き散らせていられたのは、狂喜に呑まれたフェイバルが核とし、その得物だった檮?を歪ませていたからに他ならない。
だが《処理落ち》という手段を経て、もうそのフェイバルさえもどうなってい
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