2部分:第二章
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「わかった」
ナコンは彼の言葉に納得することにした。納得した上で言った。
「それではな。その犯人だ」
「はい」
「一体誰であろうな」
「私はそこまではわかりません」
これにはランチャラーンも首を傾げさせた。
「人を喰らう者がいるということですら恐ろしいことですし」
「そうじゃな。他にも人を喰ろうておったならばことじゃし」
「そうです。犯人を見つけ出さないといけませんが」
だからといってすぐに見つかるものでもない。向こうも隠れているであろう。二人はここで難関を前にすることになった。どうするべきか悩んでいた。
だがここで。大きな傷のない方の豹が声をあげてきた。そのうえで二人を見てきた。
「むっ」
最初に気付いたのは役人であった。見れば出口の方に顔を向けている。
「どうしたのじゃ?」
「まさかとは思いますが」
ランチャラーンはかなりあてずっぽうに予想を立ててみた。それをふらりと言葉に出す。
「犯人を知っている?」
すると豹は頷いてきた。
「成程。では犯人を見つけ出してくるから出して欲しいと」
その言葉にもまた頷いてきた。どうやら間違いないようである。
「しかしなあ」
ここでナコンは難しい顔を見せてきた。何故なら猛獣を街に出すことになるからだ。それを見たランチャラーンがそっと口添えしてきた。
「大丈夫ですよ。どうやらただ犯人を見つけ出すだけですから」
「そうなのか」
「はい。そうだよな」
ランチャラーンはまた豹に問うた。すると豹はまた頷いたのであった。
「間違いないようです」
「しかしなあ」
それでもナコンは難しい顔をしていた。その顔のままでランチャラーンと豹を互いに見やる。かなり逡巡したが結局はランチャラーンの言葉に従うことにした。
「よし、何かあったら責任はわしが持とう」
「有り難うございます」
「ではな」
鍵で牢の扉を開ける。そのまま外に出す。すると豹はすぐに牢から出て何処かへと去った。ナコンはそれを見送りながらランチャラーンに対して言うのであった。
「賽は投げられた、かな」
「そうですね。後は豹を信じましょう」
「畜生を信じてもいいものか」
ナコンは今度はそれを危惧した。
「どうなのかな」
「いいと思いますが」
しかしランチャラーンはそう考えていた。
「その中にあるのは人と同じですから」
「そうなのか?」
「ええ。何故ならですね」
彼は述べる。
「私があの豹と出会ったのはあれだったんですよ」
ここで牢に残っているもう一匹の豹に目をやった。まだその足に怪我をしている。
「怪我をしている豹がか?」
「丁度怪我をしている時に巣まで案内されまして。その怪我を治す為に私が呼ばれまして」
「ふむ」
「多分あの豹とこの怪我をしている豹は夫婦
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