1部分:第一章
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ているのだが」
彼はそう述べる。ランチャラーンはそれを聞いてもしやと思った。それで彼に対して言った。
「実はですな」
「どうしたのだ?」
「その金細工ですが」
「知っているのか」
「若しかしてと思うのですが」
昨日のことを話した。そしてその金細工の細かいことまで話したのであった。すると役人の顔が見る見るうちに変わっていった。
「そう、それなのだ」
「左様ですか」
「いや、その金細工だ」
彼は言う。
「ランチャラーンさんが持っていたのか」
「左様のようで」
彼は答えた。
「では陛下にお返し致しますね」
「あいや、待たれよ」
だがここでナコンは言ってきた。
「何か」
「その金細工は豹から貰ったのであるな」
「はい、左様ですが」
その言葉に答える。
「うむ、ではその豹だな」
彼は自分の顎に手を当てて言った。見れば逞しく実に形のいい顎である。
「下手人は」
「豹が犯人だと仰るのですか」
「少なくともあんたではない」
ナコンはそれはわかっているようであった。ランチャラーンを見て述べる。
「それはわかっている」
「どうも」
「実はな」
ここでナコンは彼に対して言ってきた。
「奇妙なことにその盗賊の死骸だがな」
「何かあったのですか?」
「喉が食い千切られていた」
「喉をですか」
「そこに転がっている」
ここで後ろの躯を親指で背中越しに指差してきた。見れば人相の悪い大男が確かに喉を食い千切られて青い顔をして横たわっていた。
「医者ならばわかるな。これは人のしたことではない」
「確かに」
ランチャラーンもそれを見て頷く。彼はそれを見て述べた。
「ではやはり下手人は」
「その豹だと思うのが妥当であろう」
ナコンはそう述べる。
「どうか?」
「そうですね。では私のあの金細工は」
「豹がこの盗賊から奪ったものであろうな。まずはこれは陛下の御手許に戻る」
「それはいいことです」
「しかしだ」
ナコンはあらためて顔を深刻な顔を見せてきた。
「これだけの大男を倒した豹を放っておくとなると」
「できませんか」
「その通りだ。御主は豹の巣を知っておるな」
「ええ」
ナコンの言葉に頷く。
「存じておりますが」
「ならば案内してくれ」
彼は言った。
「それでよいな。兵隊も十人、いや二十一は連れて行くからな」
「わかりました。それでは」
「うむ」
こうしてランチャラーンはナコンと兵士達を案内してあの大きな豹のいる巣まで案内した。するとその前にその大きな豹がいた。彼はランチャラーン達を見据えてそこにいた。
「あの豹で間違いはないな」
「はい。ですが」
「どうした?」
「すぐ殺すのでしょうか」
ランチャラーンはそれがどうしても気になりナ
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