27話 パンドラボックス 2.15
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対峙させた。
フロンタルは残った手にビームサーベルを持たせて、ヤクト・ドーガに斬りかかっていった。
ヤクト・ドーガはシナンジュの機動性能に反応出来ず、その場で真っ二つに斬られ四散した。
しかしフロンタルの驚愕は更に続いた。
「なんと!」
ヤクト・ドーガの撃墜は確認できたが、その機体のファンネルが尚動き、執拗にシナンジュへ攻撃を仕掛けてきた。どのファンネルにも緑白の光が纏っていた。
「残留思念か」
フロンタルはシャリアが消えても、シャリアの意思がファンネルに強く残っており、それによりファンネルが動いていると感じ取っていた。フロンタルはそのファンネルを1個ずつ丁寧に撃墜していった。
最後の1つを撃墜したとき、シナンジュの機体は部分的に破損していた。ファンネルの攻撃がシナンジュへ確かなダメージを与えていた。
「ええい。ここまでやられるとは・・・。やはり侮れんな、人の感情は!」
フロンタルは忌々しく呟いていた。自身もサイコフレームとそれを汲む水である人の想いに無限の可能性を感じ取っていた。そのためのパンドラボックスを開発し、それを直接的にフィードバックできるパンドラシステムをシナンジュに組み込んでいた。
ギレンはその一部始終の光景を見て、腕を組んで考えていた。
「・・・成程な。ニュータイプの研究はフラナガン機関を通して聞いていたが、<奇跡>というものが起きた時に、あのようにフロンタルの様な化け物を駆逐できるほどの力が働くのか・・・。考えようによってはフロンタル自身は大したものではない」
そうギレンも呟くとその声はフロンタルにも届いていた。フロンタルはギレンの発言を肯定した。
「その通りだ総帥。私自身の優れた部分は技量のみ。それ以外は何も持ち合わせていない。私自身人の協力なくして何も成す事はできないのだよ。ただ、貴方とは違う点は私は絶望しているということだ。その意思が積年のものであって、それは私個人のものではないということで覆すことはできない私という器の絶対なのだ」
ギレンはフロンタルの話を聞いて、眼を閉じて瞑想した。その瞑想中にギレンがフロンタルに伝えた。
「・・・そうか。君のような犠牲者を誰かが止めてくれることを願うよ」
「私もそう期待している。さて終わりにしようか」
するとシナンジュが再び緑白に輝き始めた。その光はズム・シテイとゼウス全体に波及した。
ギレンはゼウスの艦長席に静かに腰を下ろし、その光に誘われ目を閉じた。
「(私の意思は・・・野望はここで終わるが、残ったものはあのシャリアの様に足掻いてもらいたいものだ)」
フロンタルの発した光により、浸食された地域の生命体は活動を自ら放棄した。
その結果を肌で感じたフロンタルはその行為を終了した。
彼の
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