27話 パンドラボックス 2.15
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* インダストリアル1 メガラニカ内 聖櫃 2.15
辺りは漆黒といってよい程の闇の中に、サイアムの眠る冷凍睡眠装置付きのベッドだけが煌々としていた。その傍にその光の余波で照らされるフロンタルがそこに居た。
サイアム・ビストはフロンタルと会合していた。
サイアムの他には誰もいない。1対1の会話だった。
サイアムはフロンタルを見て、呟いた。
「・・・ラプラス憲章を、最後の一文を世に試す時が来たのか・・・」
サイアムの言葉にフロンタルが首を振った。
「もう一息だ。しかしまだ足りない。この箱を見れば分かる。最早、お互いに時間が足りないようだ」
「どういう意味だ」
フロンタルは自身が器になっているこの体と存在とのギャップに限界を感じていた。
元は常人の体。自身はあらゆる悪意、憎悪の集合体。様々な薬物で騙してきた体が悲鳴を上げ始めていた。
「精神は肉体を凌駕するというが・・・限界はあるみたいだ。あと一戦大きな悲劇が有れば良いのだが」
「悲劇か・・・。シロッコという者がそれを担うだろう」
「シロッコか。奴ならばこの箱を満たすことができるだろうが・・・」
フロンタルは周囲に黒いオーラを纏い、同じくオーラを纏っている箱に手をかざした。
すると、箱が宙に浮いた。
「サイアムよ。この箱はここでの役目を終える。後は人類が滅びゆく様を見ているが良い」
サイアムはフロンタルが焦っていることに気が付いた。
その彼に一言呼びかけた。
「その不完全なままで世界は滅ぼせるのかね?」
フロンタルは振り返り、出口を目指した。片手でマジックの様に浮かばせている箱と共に。
「やってみるさ」
そう一言だけ言い残して、サイアムの所から去った。
サイアムはインターホンでガエルを呼びつけた。すると、ガエルがサイアムの傍にやって来た。
「お呼びでしょうか?」
ガエルがサイアムの傍によると、サイアムは彼にラプラス憲章の原本たる石碑を見せた。
ガエルもその憲章は有名なものなので知っていた。ただ最後の一文を覗いては・・・
「こ・・・これは一体・・・」
「これがビスト財団の呪いだ。これをカーディアスと共に、ダカールの連邦議会に直接持ち込んでもらいたい」
「これは今いさかいが起きていることを全てを連邦政府が肯定するという事実・・・。一気に全てが終わり、そして始まりますな」
ガエルは興奮していた。しかしサイアムは険しい顔をしていた。
「それを本当に世界中の者が一丸となって従えるかどうかに人類の未来が掛かっている。もしダメならば人類はあっという間にフロンタルの下で滅ぶだろう」
ガエルはそして結構な大きさの憲章記念碑をどのように運搬するか、ふと疑問に思った。
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