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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第5話 遭遇
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の中を歩いていた。
自分を証明するものがない今。
オレは本当にあの忍の世界にいたのだろうか。
あの時に両親に貫かれた機械的な核貫通感覚。
それさえも今となってしまえば曖昧な存在となる。
新しく知識が増えたからなのか、それとも不明点が明らかになっただけなのか……
サソリは鉄橋に差し掛かった。欄干から流れる川を眺める。
忍だった頃、組織にいた頃では使えなかった時間だ。
何もしないで流れる水と煌々と光る街灯と通り行く光線を見やる。
一つ一つに詳しい説明が付属していない、ありのままの風景を頭に残す。
「オレは後悔しているのか?」
暁の組織で人を殺めたことか……違う
人道から外れ抜け忍となったことか……違う
両親を人形にしたことか……たぶん、違う
負けたことの後悔なのだろうか、あの時に動いて反応していれば負けずに済んだかもしれない。いや違うだろう。
サソリは自分の思考結果を嘲笑った。
これが現実、これが結果だ。
オレは負けた。だが生きて動いている。
もう、それでいい。
「オレは分身だ。消えれば本体に戻る。役目はこの場所を調べることだ」
サソリの分身が帰結したことは本体の一情報として処理される。
ただそれだけだ。
「さてそろそろ戻るか」
辺りはすっかり暗くなった。人の通りもまばらになる。
すると、そこへ髪が妙にツンツンとした青年がサソリの前に息を切らしながらやってきた。
「あ!アンタ逃げた方が身のためだぜ。後ろから不良の方々が……いない!?」
後ろを振り向いて、男はサソリの目の前に来て肩で息をした。
「よし、うまく撒けたみたいだ」
男が来た方向をサソリは黙って見続けていた。
「いや、誰か来ているみたいだぞ」
「うえ?」
とその時に橋の端から青白い閃光が一直線に飛んできた。
男は右手で光線を受け止めると、右手に触れるや否や閃光は収束して四散していく。
「サンキュー、助かったぜ」
サソリに向かって会釈する。
「何やってんのアンタ!不良から守って善人気取り……ってサソリ!?」
見知った顔が暗闇の中から街灯で浮かび上がった。
御坂美琴だ。
「おう、お前か……何かあったのか?」
「あたしが情報収集していたところをこのバカに邪魔されたのよ」
顎で男を差す。
「なんだよ、人がせっかく。アンタひょっとしてこのビリビリの知り合いか?」
「ん、ああ、まあな」
「じゃあ、あとは頼んだ」
「待ちなさいよ。今日こそ決着をつけるわよ」
「頼むぜ。もうこんな不毛な争いはしたくねえんだよ」
御坂が電撃を飛ばして、男に当てるが右手で打ち消される。
「まあ、いい奴なんだが、少々喧嘩早いからな、なっ!」
と男は右手でサソリの肩を掴んでお願いするが
「ん?」
サソリの身体が煙のように消えていった。
……

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