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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第5話 遭遇
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……まあ知らない方が幸せかもしれないが」
人々の暮らしを豊かにするために開発されたものに今度は縛られていく哀しさがそこにはある。
サソリはチカチカと点滅するその物体を追いかけるようにビルの屋上に移行した。
運命
サソリには嫌いな言葉だ。
死ぬ運命を逃れるために人傀儡の世界に傾倒していった。
運命を決める者……それは古くから伝わる伝承では「神」と呼ばれる代物だ。
登っているが、解っている。
神と呼ばれる存在は決して手の届く距離にはない。神はただ試練を与えて無感情に駒を動かすだけの冷徹なもの。
遥か天空にいるソイツを睨み付ける。
あれが大蛇丸の策謀ならば大した奴だな。
屋上へと着くと仄かに力なく点滅する神を握り潰すように目の前で拳を重ねた。
「オレをここに閉じ込めておけると思うなよ」

学園都市の遥か上空に存在する人工衛星としての世界最高のコンピューター「樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)」はとある演算結果を提示していた。
毎日のように送られてくシミュレーション依頼の実験の合間を縫って静かにそれは進行している。
おそらく科学者や人間が気づかないほどの小さな異変から最悪の事態を想定しての演算。
全ての関係者に迅速に指令が出せるように設定し、関係者を選定していく。
仮想未来を想定しては全ての住民(二三○万人)を振るいに掛けていく。
1人、また1人と落としては再浮上させてもう一度シミュレーションをする。
それが現実にならず、シミュレーション結果が削除されることを願いつつ……
結論から言ってしまえばサソリを呼んだのは、ツリーダイアグラムではない。
彼は偶発的に現れた。それにより生じた不確定要素は、大きな波紋となって都市全体に広がっていく。

あれが監視の物体だとすればオレは既に見つかっていることになるな。
サソリは、ビルの屋上からぐるりと自分がいる都市を見渡す。四方全てを掘りで囲まれている要塞のような姿を視界に収めた。
「……がくえんとし……か」
閉鎖的な外観の都市を眺めて、サソリは黙ってビルの下を覗き、飛び降りるように漆黒に包まれる市街へと身を投げた。
まだ分身の自分を解く気にはならない。

分かったのは、ここは元いた世界ではない。
チャクラや忍が概念として抜けている世界だ。
実験だとすれば長期のものだろう。
当たり前のことを与えずに生物が成長すればどのようになるか?
という実験は過去から現在まで数多く行われてきた。
チャクラという概念を知らないということ自体も実験だろう。
だが、それを行うことの結論、結果が分からん。
まあ、分からんから行っているのだろうが。
知らないなら、知らないで通りそうだ。
傀儡もなく、生身の人間の身体に閉じ込められたような感覚のままサソリの影分身は彷徨うように都市
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