1部
序章
プロローグ
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2009年4月。この島にも春が訪れていた。
その島の名前は高波島。通称神奈川武偵島と呼ばれる人工島だ。
その島では武装探偵、略して「武偵」を目指す多くの若者達が住んでいる。
神奈川武偵高校に通う三劔 颯汰もその1人だった。
マンション系の寮に住む彼は起床し、通学へ向けて準備していた。
春休みが明け新学期、2年生へと進学した俺は普段通り制服に着替え、少し早目に学校に行くはず『 だった』。
そう、行くはずだったのだ。
それがなんでこうなったのか俺にもわからない。
まさか進級初日からこんなことになるなんて―――
*
俺は普段の様に愛銃のグロックと小さめに特殊加工されたアンカライトナイフを懐に構え、外に出た。同室の堂島義之は装備科の用事で既に学校にいるため1人で登校することになった。
自転車に乗り、登校を始めた俺は真っ直ぐ通学路を走っていた。
途中の大通りに差し掛かった瞬間、俺が見たのは半ば暴走しながらこちらの方へ向かってくる大きなワゴン車だった。
「クソッ!なんで初日からこんなの出てくるんだよ!」
自転車を飛び降りグロックをタイヤへ向けて、発砲した。
甲高い銃声を鳴らしながら銃弾が吸い込まれていき、タイヤを破壊した。
「あの状態で平然と止まるのか。一体どんなやつが乗ってるんだ?」
パンクした車は止まったが、スリップ気味になりながらも倒れなかった所を見るに相当な腕の立つ者が乗ってる事が分かり、内心警戒しながらも少し感心してしまった。
「…ったく誰だよ。ウチの車をパンクさせやがったのは」
そう言いながら中から出てきた男に俺は驚いた。
オイオイ、嘘だろ…?
ダレイオス・ノクターン。武装した悪質強盗の常習犯だが、最近になって駆けつけた武偵を殺したり、武偵を殺す依頼を受けたりとするため「武偵殺し」と呼ばれる危険度の高い指名手配犯だ。
「武偵…殺し…」
そう呟いた瞬間大男と目が合った。
「テメェなにしてくれてんだ…ってどっかで見たことあるな」
ダレイオスはこちらをジロジロと見ながら記憶を辿っていた。数秒後。
「誰かと思ったら今回の標的じゃねーか。ヘッ探す手間が省けたぜ」
今コイツはなんて言った? 俺が標的だと?
何故?どうして?そんな疑問が頭に浮かんだが悠長に考える余裕などなかった。
ダレイオスが既に銃を構えようとしていたからである。
それを合図にワゴン車から数人の武装した者達がでてくる。
明らかに闘うのがバカバカしくなるくらいの戦力差である。
しかしこの
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