十八話:救いは諦めぬ者に
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りも、今からあれを支えるだけのものを作るには自分では時間も魔力も足りない。
ならば、やるべきことは一つ。女神像が崩れ落ちる前に少女を救い出すのみ。
「固有時制御――四倍速ッ!」
今この瞬間だけ、衛宮切嗣は他の何物でもない正義の味方となった。
後先など考えず、自らの体がどうなるかなど考えずに目の前の誰かを救い出して見せた。
後に起こる代償のことすら忘れて、彼は少女を守り抜いてみせた。
後方で女神像が崩れ落ちる轟音を聞きながら切嗣は少女を抱きかかえる。
内臓がズタズタになり、全身には激痛が走り、今にも吐血してしまいそうになる。
それでも、彼は少女が今までの生涯で見たこともないような嬉しそうな顔をした。
まるで救われたのは自分の方だとでも言うように涙を流しながら彼は口にする。
「ありがとう…! ありがとう…! 生きていてくれて……ありがとう…ッ!」
少女には理解できなかった。何故、男が自分に礼を言っているのか。
どうして救われたはずの自分よりも、救われたような口ぶりなのか。
まだ、幼い少女には理解できなかった。
それでも、その嬉しそうな顔だけは生涯―――忘れられそうになかった。
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