十八話:救いは諦めぬ者に
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すぐになのははバリアを展開し、熱気と炎を遮断する。
しかし、一酸化炭素を吸い過ぎた為か既に二人に反応はなかった。
「大丈夫ですか!? 意識があるなら何でもいいので反応を返してください!」
なのはが必死に呼びかけるが二人とも一酸化炭素中毒で昏睡状態に入っているために目を閉じたままである。
急いで治療をしなければとも思うが、彼女にはその術がない。
ならば、とにかく安全なところまで運ぼうと考えたところで無慈悲な音声が響く。
『Survival reactions lost.』
「―――あ」
レイジングハートの生存反応が失われたという報告に掠れた声が出る。
それは目の前の二人を救うことはできなかったということに他ならない。
それでも諦めきれずに、もう助からないと分かっていながらも転送を行う。
本来であれば空港などの機関にはテロなどを防ぐために転移、転送を使用不可とする魔法がかけられている。
しかし、それは被害により、というよりもドゥーエによりシステムごとダウンさせられているために現在は使用可能となっている。
同じように結界魔法などもミッドチルダなどの大都市では基本的に使用ができない。
もっとも、全域で使用不可能にすることは無理なので探せば使える場所はある。
とにかく、なのはは犠牲者の夫婦を送り届け、すぐさま切り返していく。
それは何も二人の死を割り切ったからではない。
何が何でもあちらだけでも救わなければならないという強迫観念からだ。
「お願い……生きていて…ッ!」
神に祈るようにどこまでもすがるような声を零しながらなのはは飛ぶ。
だが、彼女は知らなかった。
神という存在は人間賛歌と同じく、悲劇や血飛沫が大好きな存在だということを。
死力を尽くして飛び、途中にある壁を貫いてでも飛んだ。
時間にすればまさにあっという間の出来事と言えるだろう。
しかしながら、生と死の狭間を彷徨う者達にとってはその時間は致命的となる。
『Survival reactions lost.』
「あ……ああっ!」
彼女が辿り着く寸前で再び絶望の言葉が突き付けられる。
折り重なるように息絶える四人の男女。
そのすぐ横に降り立ち、バリアを張ったところでなのはは崩れ落ちる。
旅行に来ていたのか、それとも遊びに行く予定だったのかは分からない。
重要なことは一つしかない。それは―――彼らが死んでいるということだけ。
「ごめん…なさい……」
言おうと思ったわけではない。ただ、自然に零れてきた言葉。
どうして彼らが死んだのかを誰よりも理解しているが故の言葉。
もしも、彼女が数を優先して先にこちらを助け
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