第八話
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ヒェッヒェッ。そうはさせんよ。」
ネクロマンサーがそう言うと、私とジンガを囲むように死霊がポップする。十匹ほど出現した死霊はジリジリと距離を詰めてくる。
「くそっ!邪魔だ!」
「ちっ・・・鬱陶しいわね。」
苛立つ私たち。この状況は結構まずい。
私たちも、ボスクラスの敵を一人で相手にしているキリトも。
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シノンを間一髪で助ける事ができた俺は、安堵の表情を浮かべる。心臓の鼓動が恐ろしいくらいに速い。死ななくて良かった。護れて良かった。シノンが振り返ると俺は努めて冷静を装う。理由は・・・何だろうか、何故だか、そうしたかった。格好つけたかったのか、気恥ずかったのか。 自分でもよく分からない。
「・・・ジンガ?」
シノンの声を聞くと、いっそう安堵した。本当に良かった。思わず泣きそうになる・・・
「おう。無事で良かった。」
ぶっきらぼうに応えてキリトの様子を見る。
「あ、有難う。」
「気にするな。今はとにかく、奴を倒そう。」
シノンの礼にもぶっきらぼうに応える。今は戦闘中だ。自分で言った言葉は、何故だか恥ずかしさを感じている自分に言い聞かせる言葉でもあった。
キリトを助けに行こうとすると、ネクロマンサーの妨害で、俺とシノンは死霊に囲まれてしまう。
「くそっ!邪魔だ!」
「ちっ・・・鬱陶しいわね。」
まずいな。俺はともかく、シノンがまたも危険に晒されている事に焦り、苛立つ。
・・・出し惜しみしている場合じゃないな。俺は一つ、決心する。
「シノン。前方の死霊を二、三体倒して包囲を抜けろ。キリトの援護を頼む。」
背中合わせになっているシノンに伝える。
「馬鹿言わないで。あなたを一人置いて行けないわ。いくらジンガでも、一斉に攻撃されたら危険よ。」
シノンの冷静な声を聞くと俺の決心は更に強固なものになる。
「大丈夫だ。俺を信じてくれ。すぐに片付けて援護に向かう。」
「・・・了解。無理はしないで。」
シノンは渋々といった様子で了承する。ジリジリと近付いてくる死霊ども。
さぁ、初御披露目だ。俺の切り札を篤と味わえ。
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