暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
Side Story
無限不調和なカンタータ 5
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「君が知る親友さんはー、誰かが苦しむ姿を笑いながら傍観するようなー、そういう人だったのー?」

 表情を強ばらせた女神が、両膝を地面に突けて、両腕をだらりと下ろし。
 翼を力無く落として、木の上に座ってるカールをジッと見上げてる。
 女神の位置からは枝葉に遮られてはっきり見えない筈の、カールだけを。

「本当にー、君の言葉通りの親友さんだったらー、そんなことをしてもー、笑ってくれないと思うんだけどー?」

 私が立ち上がっても、数歩近寄っても、女神に反応はない。
 私の存在は完全に度外視ですか、そうですか。

 その可愛い顔、拳でぶん殴ってやろうか。

「……ああ、そうだ……笑わない。あの子は死んだんだ。私が、この手で、殺した! だから、私がどこで何をしようと、あの子は二度と笑えない! あの子の希望を奪ったのは、私と神々だ! ならば、あの子と同様に神々も死に絶え、未来と希望を摘まれるべきじゃないのか!? それこそが、正しい因果というものであろう!!」
「えーとー……やられたらやり返すとかー、そういう話じゃなくてねー? 君はー、親友さんの何が好きで親友だったのー? 顔とか体とかー?」
「すべてだ! 優しい眼差しも、穏やかな声も、落ち着きがない言動も! 最後まで生命を愛していた清らかな魂も、すべて…… っつ!」

 女神の顔に再び滲み出した怒りが、ギクッと音を立てて凍り付く。
 どうやら、カールが言いたいことを理解したらしい。

 私も、なんとなく解ってきたわ。
 人間ならではの、自己満足にして思い上がった存在解釈ってヤツね。
 悪魔から見れば言い訳がましくて滑稽でしかない主張だけど。
 信仰を讚美する神々からすれば、この精神論は結構キツいかも。

 でもさー。

「だったらー、親友さんが好きだったものは君が大切にしてあげないとー。大好きなものを壊されて悲しくなるのはー、誰だってー同じでしょうー? その親友さんー、今は君の内側にしか居ないのにー、君が悲しませるようなことしたら絶対ダメだよー。今度こそ完全に親友さんが消えちゃうよー?」

 それ。
 コイツには効かないでしょ。

「…………さい、うるさい! 私達の何も知らないくせに!! 私がどれだけあの子を愛していたか……お前達に、愛する者を自分の手で殺してしまった私の気持ちなど解らないだろうがぁああああっ!!」

 ほぉら出た、被害者意識!
 てか、完璧な八つ当たり!
 歪んだ風が、また集まりだしてる。

「うんー、その辺はねー、僕じゃあ解らないよー。ごめんねー。僕は君でも親友さんでもないからー、君達がーどんな想いでどうしたかったのかはー、全然解らないんだー。でもー」

 膝を揃えて、手を乗せて。
 ほんの少し上半身を乗り出すように
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