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逆さの砂時計
Side Story
無限不調和なカンタータ 5
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んだね、親友さん。こういう歌はね、見過ごしてしまいがちな小さな喜びを忘れないように継がれてるんだ。水があって、花が咲いて、光に包まれてる。僕達はそんな温かい場所に愛し護られて生きてる。だから、どんな時もあなた達は孤独ではないんだよ……って、伝えてるの」
 へぇえ。そりゃまた随分と独善的な理由ね。
 実際はどんな種族も、各々の主観と都合で生きてるだけよ?
 水が湧くのも花が咲くのも、断じて人間の為なんかじゃない。
 「……ふ。莫迦莫迦しいほどあの子に相応しいな。あの子もよく、似た言葉を紡いでいた。世界は常に循環し、それに依って存在を繋げている。だからこそ美しく貴く、愛しいのだと」
 「うん……神様ってあんまり世界に関わりたくなさそうな印象があったから、そういう話を聴くと嬉しくなるよ。……あ、そうだ。親友さんと君の名前、尋いても良い?」
 「あの子はメレテー、私はアオイデーだ」
 「僕はカール。彼女はグリディナさん。で。このままだといろいろ大変なので、降りて話しませんか?」
 「大変?」
 何が? と、ボケ顔のアオイデーとやらには既に殺気が無い。
 カールは僅かにも崩さない笑顔で頷き、とにかく下へと地面を指し示す。
 「……………………。」
 ……ええ。まぁ、よくやったわ。
 正直、神を殺すのは容易いし、話なんか総無視でそうしてても良かったのよ。
 ただ、神々の仲間意識はどうにも意味不明で。
 切り捨てる分にはお構い無しでも、悪魔に殺されたとなると、何故か集団で仕返しに来るのよね。特に使者を殺すと執拗さが増すらしいとは、悪魔内で有名な噂だ。
 堕天使状態のアオイデーにそれが適用されたかどうかは微妙だけど……万が一、神がわらわら現れてもウザイし、今はカールが居るしで、極端な争いは避けたかった。
 結果としてカールの成長の片鱗も見られたし、万事上々……なんだけど……

 アオイデーの全裸を視界に収めまいと目蓋を固く閉じ、満面の笑みで誤魔化しまくってるカールに気付いたら、無性に腹が立ってきた。

 あんた本当に、女の形さえしてれば種族も相手も選ばないのね。
 悪魔の男も殆どはそうみたいだし、別に私があーだこーだと口出しする内容でもないわよ?
 でも、なんか……ムカつく!!


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