1部分:第一章
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て私の信頼する者達だ」
王は言った。彼等は全て優秀な者達であり王が仕事を任せている者達なのだ。そうした意味でこの公爵もまた同じである。
「皆今の問題で私に賛成してくれていたな」
「そうですな」
公爵は王の今の言葉にはっとした。
「そういえば」
「今の聖職者への課税問題に」
実は今この国は聖職者への課税問題で揉めているのである。財政難の解決と聖職者の特権と腐敗の解消が目的であるが当然ながら聖職者達がこれに頑強に反対しているのである。彼等とて自分達の特権を失うつもりはさらさらないのであるからだ。だからこそ問題になっているのだ。
「全て賛成する方々ばかりです」
「そして反対派は一人も死んではおらぬ」
王は述べた。
「だとすればだ」
「何だ、簡単ではありませんか」
ここで誰かの声が聞こえた。そうして一人の黒い髪に目をした浅黒い肌の若者が入って来た。黒い髪は長く伸ばし髭は剃っている。細身で鋭利な顔立ちの美男でありその吊り上がった切れ長の目が特に目立つ。服装は黒づくめであり黒い上着にズボン、靴、マントという格好だ。実に目立つ若者であった。
「それでは答えは一つしかありませぬ」
「何用だ」
王は彼の姿を認めて言葉を少し曇らせた。
「呼んだ覚えはないぞ」
「おや、そうでしたか」
だがこの黒づくめの若者は彼にそう言われても平気な様子であった。
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