Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 32. The End of Imagination
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れてくる。
太刀行きが速い。俺が刀の制御を奪い返すのも、手放して反撃の拳を叩き込むこともできない。素手で受け止めても、今の俺のHP残量じゃ確実に死ぬ。視界の端の縮地のゲージも、視力スキルのタイマーも、あと四十秒足らず。武器を捨てた状態で、たった三十数秒で勝てる相手じゃねえ。
致死の一撃への打開策が思いつく前に、奴の剣閃が硬直した俺の胸へと迫り――。
――負けないで、一護!!
脳裏に、リーナの声が響いた、気がした。
……そうだ。俺は、俺は負けない。
ここで負けるわけにはいかねえんだよ!
突きの速度は速いが、まだ見切れる速さだ。
そして、刺突は威力が高い分、軌跡が直線的になる。
だったら、普通に防げないってンなら……。
「敗けるかああああああアアァァァッッ!!」
武器ごと叩き潰せばいいじゃねえか!!
ほぼ垂直に放った俺の蹴りが、突き込まれてくる茅場のシンプルな長剣の根元、唯一装飾が施されて細くなった部分へとピンポイントでブチ当たり、そのまま真っ二つにへし折った。
攻撃判定が存在しない技の出始めに脆弱部位に強烈な打撃を当てることで武器を壊す。キリトの十八番でもあるシステム外スキル「武器破壊」は、見事に茅場の剣を粉砕せしめていた。
柄だけになった剣を見て、今度は茅場から勝利の笑みが消え失せた。目を限界まで見開き、今までで一番はっきりした感情――明確な驚愕――を浮かべている。
「馬鹿な……有り得ん。動きを制限された状態で、かつこのタイミングで弱点部位を体術で打撃し武器破壊を成功させるなど……どれ程の技、いや、どれ程の低確率を以ってすれば可能な……」
「……わかんねえだろうさ。テメエ一人の勝手で、他人を自分の世界に閉じ込めて喜んでるアンタには、絶対にわかんねえよ」
呆然と立つ聖騎士の男を、俺は真っ直ぐに睨み付ける。
「言ったはずだ。俺はテメエを倒す。そのために俺は強くなって、ただこの瞬間のためだけに、俺はここに来たんだ!」
「くっ……!」
俺の突きだした拳を防ぐため、咄嗟に茅場は刀を放して盾を引き戻す。握り締めた拳骨が硬い盾の中心を叩き、鈍い音を響かせる。
それに構うことなく、俺は刀を振るった。揺らぐ茅場を追い詰めるように、残る数秒に全てを賭けて。
「テメエを倒す! 必ず勝つ! 勝って生きる!!」
斬り払い、突き出し、振り抜く。
限界を超えて、自分を加速する。
焼き切れそうな自分を押して。
「そして、リーナを! 攻略組を!
この世界に囚われた全ての人を助け出す!!」
全力の袈裟斬りが盾を抉ったその瞬間。
ついに、茅場のリズ
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