Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 32. The End of Imagination
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は、俺が歩み寄り十メートルほど手前で立ち止まると、ごくわずかに微笑んだ。
俺は鎖坐切を中段に構え、自然体で立つ聖騎士を睨む。
「待たせたな。始めようぜ、茅場」
「よかろう」
茅場は頷くと、指を虚空へと走らせた。同時に俺たちのHPゲージが減少し、同じ長さに揃えられた。小攻撃でもせいぜい四、五発、強攻撃のクリーンヒットなら、一撃で持って行かそうな量だ。
「……最後に、一つだけいいか?」
「何かな?」
表情をピクリとも動かさず続きを促した茅場に、俺は問いかける。
「アンタはどうして、こんなことをやったんだ。偽物の世界作って、何の罪もねえ一般人を一万人も閉じ込めて、何千人も殺して、それでもまだ観賞することに、アンタは何の意味を見いだしたんだよ」
「その答えが、これからの勝負に必要かね?」
簡潔で、愛想の欠片もない返答だった。
茅場の冷たい金属のような目と、俺の目がピタリと合う。そこに回答の意志はなく、ただ機械みたいな無機質な光が宿っていた。
「……ちぇっ。答える気なしかよ」
吐き捨てるようにつぶやいてから、刀を握る手に力を込める。柄についた鎖が揺れ、チリチリという音が微かに鳴った。それに合わせるかのように茅場は突き立てていた長剣を引き抜き、盾の影に隠すようにして構える。
凍てついたような静けさが周囲を圧し、それに呼応するみたいに、思考が限界まで鋭化していく。浦原さんに初めて「斬る覚悟」を教わったときのように、恋次と戦ったときのように、自分の気配が静かに、けど重くなっていくのが分かった。
互いが武器を構えた残響が消え、辺りに完全な静寂が満ちた、その瞬間、
「――行くぜ。茅場晶彦!!」
俺は縮地を発動。一瞬で距離を詰め、盾を構える茅場へと斬りかかった。
初撃を盾で止められ、続く斬撃はバックステップで躱された。即座に短距離縮地で追いすがり、盾の届かない左脇から斬り上げを叩き込む。今度は自動防御に止められ、赤い火花を散らすだけに終わった。
だが、ひるむ暇はない。縮地を発動した以上、戦闘限界は残り二分フラット。その間に決着がつかなきゃ、俺の負けが確定する。刀を振るう腕を、地を蹴る足を止めることなく、俺は全力の速度と力で茅場へと攻撃をブチ込み続ける。
背後に回り込み、胴を薙ぐように一閃。自動防御で危なげなく防がれるが、ためらわず跳躍、茅場の真上へと跳び、
「――《残月》!!」
斬撃を飛ばした。
しかし、今度もまたイージスが作動。蒼い三日月が、真紅の盾の前に散る。ダメージは欠片も通っていない。
俺の着地する瞬間を狙って、茅場が剣を鋭く突き込んできた。首を強引に捻って避けたが、髪に掠った。HPバーが僅かに削れ、色が赤く染ま
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