Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 32. The End of Imagination
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に保護され、それがバレたから逃げるついでに、自分と対等な条件下で戦うチャンスを「くれてやる」だと……!? どこまで上からもの言えば気が済むんだよ殺人犯が!!
煮えたぎる激情を隠すことなく、俺は真っ直ぐに茅場を睨みつけ、腹の底から叫んだ。
「そんなモン、受けて立つに決まってんだろうが!! これ以上、一分一秒だってテメエに喋らせるのはガマンならねえ! アンタを斬って、俺は、俺たちは現実に帰るんだ!!」
◆
俺たちの戦いに巻き込まれて仲間が負傷しねえようにしたい。
俺の要望に応えたヒースクリフが即席で召喚した半透明の柵の囲いの中に、俺は麻痺に倒れた連中を全員移動させた。最後にリーナを抱えて柵の内側へと下ろし、俺はまた外側へと戻る。その直後、開いていた入り口が閉じ、今回のボス戦で生き残った奴の内、俺とヒースクリフを除く二十人が隔離された。
「な、なあ一護……お前、本当にやるのか?」
「当たり前だろ。同じことを何度も言わすんじゃねえよ」
麻痺が解け、ゴッツイ顔を心配そうにひそめるエギルに、俺は呆れた声で答える。いつもみたいに減らず口を叩いてくれた方がまだ楽だってのに、なまじ俺の身を案じてくれてるのが伝わってくるモンだから、やりづらいったらありゃしねえ。チャドみてえに「気を付けろよ」って一言だけで十分だってのによ。
他の連中の面も、そう大差ない。
未だ状況を飲み込めきれてない戸惑いと不安が半々って感じの表情で、柵の内側から俺を見ている。
「心配すんな。そう長々とやり合うつもりはねえよ。とっとと斬って、それで終いにする」
「で、でもよおイチの字、もし、もしおめえが負けちまったら……」
「負けねえよボケ」
「ぅごっ!?」
趣味の悪い柄のバンダナの下の目を伏せるクラインを、俺は柵の隙間から刀ごと腕を突っ込み、鎖坐切の柄尻で顔面を小突いた。
「俺は負けねえ。勝たなきゃいけねえなら勝つ。そんだけだ。ミスったときのことなんか、知ったこっちゃねえよ
それに、目に見えてるわけでもねえ未来に怯えてここから逃げれば、きっと俺は一生後悔する。戦う前に諦めて、敗北にビビって逃げた俺を、明日の俺は笑うだろうしよ」
「おめえ……」
目を見張り、二の句を継げずにいるクライン。なんとか言葉を絞り出そうとする奴を、横から出てきた手が押し退けた。
「……一護」
俺の名を呼び、リーナが真っ直ぐにこっちを見上げる。その顔は相変わらず無表情だったが、それはいつもとは違う、色んな感情がせめぎあった結果生まれた表情のように見えた。
二年間憎悪し続けた相手を目の前にした怒り。
そいつに手を出せない悔しさ。
……そんで多分、俺を一人で戦わせることへの、微かな不安
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