Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 32. The End of Imagination
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あるプレイヤー諸君の体験を基にすれば、より波乱に満ちた物語を生み出せる。そういった発想から、クエスト自動生成プログラムをベースとして、人体の記憶解析とゲームへの転用を目的にした『メモリー・リアライジング・プログラム』が作成された。
プログラム始動から五十時間かけてカーディナルは全てのプレイヤーの記憶をスキャンし、その中で最初に君がクエスト生成のための記憶提供被験者第一号に選ばれたというわけだ。
以降、ゲームが進んでいく中でもカーディナルは事あるごとに一護君の記憶を読み、クエストのみならず、この世界のあちこちに君の記憶から引き出した情報を組み込んでいったよ。まるで、君の記憶に魅入られたかのようにね。私はそのことに気づき、カーディナルが参考にした記憶の一部を映像化して再生した。その内容に更なる好奇心を刺激され、以来、私はカーディナルを止めることなく、ただ君の記憶片がこの世界へとしみ込んでいくのを見守っていたのだ。
だがまあ、その結果として、こんな形でボロを出すはめになってしまうとはな。
ここのボスはクォーターポイントの守護者として他のボスよりも各種ステータスを強靱に設定したのだが、攻撃パターンは全て直接攻撃に限定し、あのような範囲攻撃は設定しなかったはずだ。しかし、君が咄嗟に回避警告を飛ばしてきた点を考慮すると、あれも君の記憶の産物である可能性が高い。つまり、最後のあの閃光は、君の記憶が生んだ一撃とも言い換えることが出来そうだね」
ならば、その一撃で私の不死属性を暴露したことに対し、君に報酬を与えようではないか。
そう言って、茅場は右手の剣を地面に突き立てた。澄んだ音が空気を裂き、茅場の声だけが響いていたこの広間に反響する。
「一護君。君にチャンスをあげよう。今私とここで一対一で戦うチャンスだ。無論、不死属性は解除する。システムによるオーバーアシストも封印すると確約しよう。
もし拒むのであれば、私はこのまま最上層にある『紅玉宮』にて君たちの訪れを待つことにする。しかし、もし君が今の私に勝てばゲームは即時クリアされ、全プレイヤーがこのゲームからログアウトできる――どうかな?」
その顔には、俺を試すような笑みが浮かんでいた。突き立てた剣の柄に手を置き、真鍮色の瞳で俺を見てくる。
「……どうかな、だと?」
意識しなくても、いつもより数段低い声が出た。
右足が一歩、前に出る。下ろしていた刀の切っ先が上がり、茅場へと突きつけられる。
「フザけんじゃねえ……!」
多分、この世界に来て、一番デカい怒りを俺は感じていた。
今まで俺たちが必死で戦うのを傍から眺め。
何千人もの人を殺し。
今なお残る連中を、この鉄の城に縛り付ける。
挙句、自分だけは死なないようにシステム
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