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「あの連中はどうなるんですか?」
「勿論裁判にかけられる」
 山根はクールな口調で応えた。応えながらその手に煙草を出してきた。
 火を点ける。暫くして煙をゆっくりと吐き出した。
「規定路線だ」
「誘拐に殺人。そして死体損傷ですか」
「何人もな。まあ死刑だな」
「そうですね。しかし本当に動きが速くないとできないことでしたよね」
「ああ。それはな」
 嫌な顔をしながらも頷いた。
「狭い通風孔の中を通り抜けて部屋のすぐ上まで来て」
「ガスを仕掛けて倒れたところで攫う」
「そのまま上へ連れて行く。見事な話だ」
「しかし何で臓器売買なんかしたんでしょう」
 尾松はそれを疑問に思った。幾ら何でも他にあるだろうと。裏の世界でもこれに手を出すのはかなりの外道であるとされているという話だ。これは死体の汚れやそういうものを極端に嫌う日本人独特の感情から来るものであろうか。宗教観が関わっているのでそういうイメージが強いのだ。
「他に金を作る方法はあるでしょうに」
「それは簡単だな」
 山根はその疑問に対して素っ気無い様子で答えた。
「簡単ですか」
「まずな。閉鎖的な宗教団体というのは自分達のことしか正しいと思わなくなる」
 山根は冷淡な声でこう述べた。実際に閉鎖的な宗教団体というものは唯我独尊になり自分達以外の存在を認めようとしなくなったりするのだ。
「そこもオウムとかと一緒ですね」
「似てるというかそのままだな」
「ええ、拉致といい」
「ああいう団体は結局考えることが似てくるんだろうな」
「それであんなことをすると。嫌なものですね」
 尾松もまだ嫌悪感を見せていた。消すこともできないでいたし消すつもりもなかった。
「違うのは規模でしたけれどね」
「それにしてもだ。臓器売買とはな」
「あれで金を稼いでいたんでしょうね」
「ああ、それは間違いない。実際にやっていた」
「やっぱり」
 尾松は山根の言葉に顔を暗くさせた。
「その資金を元手にこっちで一旗挙げようとしていたようだな」
「人を助ける宗教家がですか!?」
 尾松はそれを聞いて顔をまた顰めさせた。
「何か。順序というかやってることが滅茶苦茶なんですけれど」
「だから言っただろう?実際には自分のことしか考えていないって」
 そのことをまた言う。苦い声で。
「じゃあ殺されて内臓売られた人は何なんですか?」
「異端者だ。考えるに値しない」
「それって無茶苦茶じゃないですか」
「だからカルトなんだよ」
「・・・・・・説得力ありますね」
 そう答えるしかなかった。カルトという言葉が今回の事件にそこまでの説得力を与えてしまっていたのだ。そのおぞましさ故にである。
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