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「まずは事務所に行く」
「役者さんの」
「いいか、これはあくまで公のやり方じゃないからな」
山根は尾松に顔を向けてそう釘を差してきた。そういう事件の解決の仕方もあるのだと。彼は尾松にそう述べているのである。剣呑な調子で。
「あくまで裏道のやり方だ。覚えておけよ」
「わかりました」
「わかったらいい」
「で、その事務所後々まで使えるんですよね」
「使い方が難しいがな」
そういう性質のやり方の特徴であるとも言える。
「というとやばいところですか」
「下手したら首を持って行かれる」
「首って」
それだけで尋常ではないものであるのがわかった。尾松はそこにぞっとするものも感じた。だがそれは口には出せはしなかった。そうした雰囲気であったからだ。
「後でじっくりと教える」
「恐いのは嫌ですよ」
「恐いからこそ使えるんだ」
山根は扉を開けながらこう言った。
「それだけのものがあるからな」
「はあ」
「これが上手くいけば事件は終わる」
山根は断言した。
「というか終わらせる、いいな」
「わかりました、じゃあ」
二人は部屋を後にしてその事務所へと向かう。それから数日後あのホテルに風変わりなカップルが姿を現わしたのであった。
その二人は髪を滅茶苦茶に染め、そしてやたらとけばけばしい化粧に何処で買って来たのかわからないような服を着ていた。あちらこちらにアクセサリーを着けて、それがさらに異様さを見せていた。変わった身なりの者が多いこの街でも滅多に見られない様な連中であった。
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