9話 鉄と鉛の創傷(ウーンド)
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『昨日の未明、ISの拠点となるアパートが襲撃された事件がありました。警察によると、SRAとISの抗争だと言われています。今後、軍を配備して、ここ一体のISの組織を捜索するとのことです』
クロノスはラジオを聞きながらオートバイを押しながら歩いていた。
彼はラジオを消し、オートバイに跨がり、エンジンをつけた。
今、シャルラッハートに指定されたISの第一拠点に向かっていた。
拠点を制圧すれば、カリヒに会えるのではないか。薄々感じていたのであろう。
「じゃあ。まずはリーナと僕がここの拠点。ミカエル、メリラ、アーシャはここの工場を攻め入ろう」
僕は資料を選択し、ここから近い工場と、ここからかなり離れた拠点を取った。ここを制圧できればアメリカ軍と対峙しても問題無いはずだ。
僕はトラックの助手席に乗り、リーナに運転を任せる。トランクには武器と一緒に捕虜を積んで…
カリヒさん。今回制圧するはずの拠点ってもしかして最終基地に当たる場所ですか?」
「ああ。そうなる。ISからしてみれば、敵軍の中に立てたテントってイメージだろう」
「勝てば官軍負ければ賊軍。ちなみに私が一番好きな言葉です」
彼女は笑いながらハンドルを切り、応える。
「そうか。努力をすればいつか叶う。これは僕が一番嫌いな言葉だよ」
僕はいつにもまして緊張感が胸部の振動する速度を高めている。
何か嫌な予感がする。
最後の拠点であるから一筋縄では行かないのだろう。それだけじゃない。なんだ?もう1人が僕を拒んでいるようだ。
「どうしたんですか?カリヒさん」
「いやなんでもないよ。ただちょっと嫌な予感がして」
「珍しいですね。嫌な予感って具体的になんです?」
「もう1人が心拍を高めているんだ」
リーナは不安そうに僕を見つめる。
「そうですか」
彼女はまるで煙たがるように応える。
もう一人があまりすきじゃないのだろう。
クロノスはISが拠点として利用しているビルに攻め入った。
敵は300人近くいるというのに、彼は敵の弾を奪いながら1丁のM16だけで対処している。
1階。
敵兵4人がクロノスに向けて弾丸を投げつける。彼は基本的な技術のみでその場の制圧を軽く終わらせ、階段に向かう。しかし、そこにも敵兵が流れるように出てくる。敵兵の1人の足を撃ちぬく。それだけで、クロノスの戦場になる。
落ちてきた敵兵。それを庇うように手を差し伸べる敵。それの頭を打ち抜き、武器と一緒に怪我人と死体がクロノスのものになる。彼は生きている敵兵を盾にしてリロードをする。人質に取るのにも似ているが、敵はそこまで連携や協調性が備わっているわけでもない。
仲間が人質になったとしても容赦なく怒号を立てる銃を向ける。
クロノスの考えは死んで脱力した
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