9話 鉄と鉛の創傷(ウーンド)
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
た。
今この瞬間。痛みを調和出来なかった。
カリヒが居なかったことを考えただけで。彼女の体は不安に侵され、恐怖に蝕まれる。
だから常に考えないようにしていた。
考えないように…
それと比べたら、死の恐怖なんて無に等しい。
今は別の恐怖が襲っている。
このまま死んだ時、カリヒは他の女の子にとられるのではないか。
悲しんでくれないのでは…
そんなちっぽけな、心配事を書き換えるほど…自分がカリヒと離れ離れになることが…
“死ぬより辛い“
と言うこと。
死ぬのに…死ぬよりも…
矛盾が脳内で騒ぎ出した。
リーナは最後。離れることへの絶望とともに見出した最後の希望。
それは
「生まれ変わったら…平和に…カリヒさんと出会って…結婚して…子供を産んで…死ぬまで隣に寄り添いたいです…」
涙を流しながら、口から血反吐を吐きながら、彼女は最後の力を振り絞り言葉を発した。
彼女の体は重力に逆らうことなく床に崩れる。
カリヒはやっと16階にたどり着いた。
「リーナ…」
カリヒはリーナの口から出る言葉をはっきり聞き取った。
「ちが…違う!殺すつもりはなかった!」
クロノスが怯えながらカリヒを見た。
カリヒは一瞬ですべてを読み取る。
「出てくるな!」
もう1人はリーナのことを愛していた。だからカリヒは抑えこむ。
とりあえずカリヒは笑った。大きな声で、声帯を震わせ。
「あれ?反応間違えた?」
カリヒの本体の人格は音を立てて崩壊した。
…続く
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ