暁 〜小説投稿サイト〜
殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
9話 鉄と鉛の創傷(ウーンド)
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スは呼吸と声のトーンを乱しながら返答する。クロノスは笑顔を絶やさずに、彼の四肢を弾丸で切り裂く。
 叫び声が耐えることはなかった。彼はそのまま急所が密着している体の中心軸を謎るように銃を動かす。
「カリヒが来た」
 感応現象。
 一言でいうとそうなるかもしれない。カリヒに対して、コンプレックスを持っていると言っても過言ではない。
 彼は歩いて改装を降りた。
 同時に2階に上がったリーナはクロノスの存在に気づいた。
 クロノスが感じていたのはカリヒではない。リーナだったのだ。
 リーナはクロノスを知っていた。存在をではなく、自分と似ていると感じていた。
 死神の飼い方が…
 2階から勢い良く昇るリーナ。それはもう急いでいた。彼女は一度、クロノスと話してみたいと思っていたからだ。
 クロノスはリーナのことを知っていた。それは同族嫌悪の対象として。
 そして16階にリーナが昇り、クロノスが降りた頃、エンカウントした。
「よう。リーナ」
「どうも。クロノス」
 リーナは銃を握る。クロノスもまた銃を構える。
「リーナ。君はどうしてカリヒの隣にいる?」
「嫉妬ですか?男性の嫉妬は醜いですよ」
 リーナは冗談を混ぜてクロノスを挑発する。
「そんなことを聞いているわけではない。冗談では無く、まともな答えが聞きたい」
 クロノスの質問は、何故人殺しのマシーンであるカリヒの隣に居ることができるのか不思議だったのだ。
「じゃあまともに答えます。私のすべてです。彼は」
「つまり?」
 クロノスは通常柔軟な思考回路を持っているが、切羽詰まると段々思考力が鈍る。
 最近はカリヒに執着し過ぎで思考が回っていない。
「私の唯一の家族。それ以外には何もありません」
「家族。かぁ。俺には何もない」
「自分で切り離したのでは?」
「そうなるかな?」
 クロノスはうつむく。
「聞いてくれるか?」
「勿論」
 リーナは頬を上に傾ける。
「俺は、幼いころ奴隷だった。それは知っているな?」
「ええ。以前あなたの所在を調べた時に出てきました」
「そうか。奴隷時代、仲が良かった女の子が居たんだ。名前はマシロ。飼い主は日本人だった。奴隷に色を含む名前をつけた。リーナ。君は日本語を知っているか?」
「ええ。カリヒさんが日本人ですから」
「DNA上。俺も日本人らしい」
 クロノスは落ちたトーンのまま話を続けた。
「済まない。脱線した。話を戻す。まあ、マシロって女の子。多分あれはヨーロッパ系の白人の子だった。ちょうど、君と同じ肌の色。髪の毛は君とは違って薄い金色だった」
 リーナは左手で自分の茶色がかった髪の毛をつまみ、目で確認した。
「マシロさんのことが好きだったのね」
 リーナは笑顔を作ってみせた。これはカリヒに対しよくやる行動
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