9話 鉄と鉛の創傷(ウーンド)
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手をおいて左右に揺すった。
「雑念が入ると任務の邪魔だ」
「そうですか?でも1回くらいなら?」
「今回はそうも行かない」
「…そうですか」
最上階。そこには拠点を取り仕切っているかのような男がその場に居た。
「お前がこの城の主でいいんだな?」
クロノスはM16を右手にぶら下げながら問う。
「ああ。そうだ。お前はシャルラッハート・ワシントンの飼い犬のクロノスだな?」
男もまた右手にM16を持ってクロノスに聞き返す。
「飼い犬と言うより、飼い猫かな?俺は命令されてここに来たわけじゃない。ただの気まぐれでお前らを狩りに来た」
クロノスの言葉に、男は高笑いを上げた。
「冗談を言う奴は久しぶりだ。なんせ。ここの連中なんて生きることしか考えていない。いや生きながら死ぬことだけを考えていると言ったらいいのかな。生き方がわからずに、シャブにまで手を付けるような連中だからな」
シャブ。クロノスはその言葉を聞いて目を細めた。
人殺しをしているところを抜いたら、彼ははっきり言って常識人だ。普通の人間というより、常識に囚われている。固定概念が強く、A=Bのような方程式でないと認められないほど頑固である。
「そうだ。俺はテレウス。まあ、覚えなくてもいい」
いきなり自己紹介を始めるISの男。
「ああ。多分、俺かお前。或いは両方が死ぬだろう」
クロノスは銃を構える。そしてテレウスも銃を構えた。
クロノスは壁際に後退し、銃を乱射しながら隠れる。同様にテレウスも隠れながら連射する。
先に動いたほうが負けだ。また、動かなければ負けだ。彼らは心理戦に徹する。
“死神”は、クロノスに囁く。
『殺せ!』
クロノスは引き金に手を触れずに体を出した。テレウスはそれを見てクロノスを撃った。しかし、クロノスは弾道を見切り、すぐに体を浮かせ的確にテレウスの尺骨を鉛弾で砕いた。
テレウスは悲鳴を上げる。激痛で喚いた。
クロノスはテレウスの足に銃口を突きつけ、5発流しこむ。クロノスは勿論、正気の沙汰ではない。
彼の死神がクロノスの体を動かし、クロノスを支配しているのだ。
リーナには困ったものだ。勢いとは言え、気がついたら、体を交わしていた。
避妊具を付けていないことを知っていたが、もう1人が体を支配した。
とりあえず僕はトランクにある武器を漁る。
「あ」
つい口から言葉がこぼれた。
ロープでぐるぐるに縛ったISの男を放置していた。車の中で死んでいた。冷たいし、硬い。昨日、逝ったのだろう。
「僕。死体の前で腰振ってたのか」
これほど自分を哀れに思ったことがない。リーナは疲れてぐったりしているし…
「リーナ。立てる?」
「はい」
リーナは死体を見て言う。
「カリヒさんが捕獲
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