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所を手当たり次第に押さえていく。そこからまたふるいにかけていくのであった。二人の捜査はかなり慎重であった。
怪しい連中をまず調べていく。その中には風俗店や暴力団もありそういった連中も調べられていく。
とりあえず怪しい者達はいなかった。胡散臭い連中は多かったがそれだけに留まっていた。極端に変な連中というのは案外少ないものだ。だが。
一つ、妙な団体がいることに気付いた。
「!?」
最初にそれに気付いたのは尾松であった。一角のあるビルを指差した。
「ここのビルですけれど」
「ああ」
二人は署内の個室に閉じ篭っていた。その中で粗末なテーブルに向かい合って座っていたそこで尾松が言ったのである。
「何か妙な団体がいますね」
「妙な」
「宗教団体ですかね、これ」
見れば聞いたこともないカタカナの名前の団体であった。山根も今彼等のことに気付いた程である。
「よくわからないですけれど」
「じゃああれか!?」
山根は苦虫を何匹も同時に噛み潰した顔をして答えた。
「オウムとかああした連中か」
「その可能性があるかも」
尾松もそれは否定しない。何せどんな人間がいるかわからない街だから。
「ほら、あいつ等だってそうでしたし」
「拉致か」
「もしそうだとしたらあれですよ」
尾松は焦った顔になってきていた。
「とんでもないことに」
「もう充分とんでもないことになっているがな」
それに対する山根の返答は身も蓋もないものであった。何人も誘拐されて失踪しているのだ。これを大事と言わずして何と言うのだろうか。
「もう三件の失踪が起こっているからな」
「まあそれはそうですが」
こう言われるとその通りである。困ってしまう。
「どうします、これ」
「当然調べる」
山根は彼等も捜査の対象からは離さなかった。少しでも可能性があるからだ。
「あからさまに怪しいからな」
「ですね。じゃあこの連中も」
「ああ」
こうして虱潰しに捜査を行っていった。結果として暴力団や風俗関係からそうした証拠は見当たらなかった。金の出入りもそうした関係だけでおかしいところはなかった。
「どうやら真面目な連中ばかりらしいな、ここは」
「そうですね」
かなり時間をかけて調べ終えた後山根と尾松はそんな話をしていた。山根も尾松もかなり疲れた顔と声になっている。それも無理のないことであった。
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