第10話 秘密の昼食
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てられて、意識を保っていられずに気絶した。しかも口元は幸福感に当てられた証拠として、だらしなくにやけていたと言う。
「あずみ、如何したのだあずみよっ!?」
「あずみが気絶したー!」
「あずみさん!?」
心配する周りのメンバーの気持ちをよそに、あずみは昼休み終了前のの予鈴のチャイムが鳴るまで気絶し続けていたと言う。
−Interlude−
夜。
親不孝通りのある裏路地に、全く人気の失せた場所があった――――いや、いかなる力が作用しているのか、無理矢理できていた。
そこに、魔術や高い霊感を持たぬ者には不可視なる具象奇体が発生していた。
『おのれ・・・おのれっ!我が・・・・・・の呼び水に我を使うなど、万死に値する!』
発生時から憤りを抑えられない“何か”だったが、次第に自分の意思とは関係なく操られ始める。
『グッ・・・・・・い、意識が・・・保て・・・ぬ・・・・・・』
しかも丁度いいところに――――と言うワケでは無いのだろう、それなりの野生と風格を纏った少年が現れた。
「クソッ、衛宮士郎の奴!俺が居ない隙を狙って食材を入れに来るとは・・・・・・。今度こそ押し倒してやろうと思ってたのによっ!!」
士郎が日曜日に行った板垣家で会わなかった長男、板垣竜兵である。
因みに、数年前に親不孝通りで遭遇した冬馬との出会いを機に、ホモに目覚めてしまったのだ。
その理由から、中世的な顔はしていないが、士郎を標的としてロックオンしている。
何でも普段は穏やかなのに、時折キリッとしたギャップに惹かれたのだとか。
会うたんびに、のされている訳だが。
閑話休題。
そこで1人愚痴っていた竜兵だが、やっと周囲の異変に気付いた。
「何だ此処?何時もは誰かしらいんのに、誰もいねえじゃねぇか・・・・・・ん?」
そして魔術や高い霊感は持たないが、野性的過ぎる本能が警告を出しているのか、自分の身に得体の知らない危険さが迫っているのを感じ取る。
「何かしらねぇが、やべぇな!」
しかしその野性的直観も、視えるモノからすれば手遅れだった。
竜兵本人は見えないモノの、四方の通路を幽鬼体――――つまりゴーストに囲まれていた。
そして―――。
「ぅぅおおおぁああぉおおああああ!!」
親不孝通りを束ねる不良の王の悲鳴が、虚空に響いた。
しかし、この声を聞いたものは誰も居なかった。
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