SIDESTORY「ラルフ・ヴィンセクト」&外伝の資料設定
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ットは怯えが声で男を見た。
「父親の顔を忘れたのか? シャルロット……」
そう、その男こそシャルロットの実父であった。そして、彼の背後から数人のスーツ姿の男たちと、一人の女性も現れた。
「久しぶりね? 泥棒猫!」
その女性は、正妻であった。
「ど、どうして……?」
話によると、デュノア社はリベリオンズと闇政府に会社を買収されたと聞くが、実父と正妻の行方は知らず、蒸発したという噂もたった。
「あのあと、お前の仲間が私達の会社を奪い、そして我々はIS委員会の小間使いにされるはめになった。この屈辱は何ものにも言い表せないほどの恥だった。もし、あのときお前がしくじりさえしなければ、私達は何もかも上手くいっていた。今頃こうしてIS委員会の女共の下で下僕のように扱き使われるようなことはなかった。それなのに、キサマが……キサマがぁ……!」
と、実父は彼女へ拳銃を向けだした。
「……!?」
シャルロットは自分への殺意に震えだした。
「死ね……この厄病者め!」
しかし、引き金を引こうとした途端、銃声が響かない。
「!?」
銃にロックが掛っていたため、解除するのを忘れていたのだ。その隙にシャルロットは必死に逃げ出した。
「くぅ……追え! 追うんだ!?」
「何をやってるの! 早く捕まえなさい!?」
「……!!」
シャルロットは、必死で廃墟の病棟内を逃げ回った。息を切らせながら階段を駆け上り、そして気が付いたら屋上へと追い込まれてしまった。
「クックック……今度こそは逃がさんぞ?」
銃を向ける実父に、シャルロットは両目を瞑った。
――私、ここで死ぬんだ……なら、せめてラルフさんと……
「さぁ、死ねぇ!」
そして、実父の握る銃の引き金がゆっくりと引かれるのだが……
「ぐぅ……!?」
突如、背後に居た数人の部下たちが次々に倒れていった。
「な、何だ! 何が起きた!?」
実父と正妻は部下たちへ振り向くが、そこには全員横たわった部下たちの中に、一人青年がこちらを見ていた。
「ら、ラルフさん!?」
泣きじゃくっていた彼女の顔が一瞬で笑顔に変わる。
「ISの女共よりも、テメ―らのほうがよっぽどカスだぜ?」
「こ、この小僧……まさか!?」
実父はラルフの顔に見覚えがあった。当時、自分の会社を襲撃し、大勢のIS操縦者を大量殺害した悪魔のような若者を……
「これで終わりだ! デュノアのクソ社長!!」
ラルフは、思い拳で実父をぶん殴った。本当は殺してやりたいところだが、本当に殺してしまうと、あとあとうるさいらしい。
「た、助けて……!」
気絶した実父を前に腰を抜かして涙ぐむ正妻がいた。
「……!」
しかし、ラルフはそんな正妻が、かつて自分を傷つけたあの売春の女と面影が重なる。
「るせ……うるせぇ!!」
そして、実父同様に正
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