強くなりすぎた男
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、見るものから見れば確実にわかる歪みだった。だが、それを見ても目の前の金髪の少年は動きを見せない。
(た・・・助かった・・・)
見落としたわけではない。金色の少年は間違いなくその歪みに気づいていた。だが、あまりにも一瞬だったためにあえて突撃することはしなかったのだ。
少年は相手の圧力に押されて思わず怯んでしまうところだった。だが、なんとかそれに耐えて再び集中力を高めていく。
ドッドッドッ
速まっていく鼓動。それを落ち着けるために一度深呼吸をしたいところではあるが、それをすれば相手にチャンスを与えてしまう。少年は自分を落ち着けたい気持ちをグッと堪え、高鳴る緊張感に飲み込まれないように気持ちを維持し続ける。
それに対する少年は、全く動じた様子もなく、ただ水色の少年を見据えている。
互いに全身ボロボロ。条件は同じはずなのに、金色の少年はそれを一切感じさせない佇まいをしている。
まるで石像と化しているかのようにすら思えるほど微動だにしない少年。しかし、だからといって下手に動いてしまえば彼の氷の渦が体を貫くことは明らかであった。
次第に汗の量が増え、口で呼吸するようになってしまった妖精と、彼と同じ条件とは全く思わせない驚異的な集中力を発揮している蛇姫。妖精が耐えきれなくなって飛び出すのが先なのか、はたまた蛇姫が何らかの異変で隙を作ってしまうのか。息を飲み、この静寂なかけひきを見ている人々も、戦っている2人も、彼らのそばにいる竜にも、その時は誰にもわからなかった。
そして、この2人の戦いは、思わぬ形で決着を迎えることとなる。
「見切った!!」
ミネルバの爆発の合間を掻い潜り、エルザが彼女を短剣を切り裂く。
「なっ!!」
やられた格好のミネルバは両手に魔力を纏わせ、エルザを攻める。しかし、その攻撃は彼女には当たらず、逆にエルザの攻撃を受けてしまう。
「おのれ!!」
「私の怒りは、ギルドの怒り!!」
突如エルザの体が光に包まれる。それを見て彼女に突進しようとしていたミネルバは思わず足を止めた。
「第二魔法源!!解放!!」
エルザが解き放ったのは大魔闘演舞直前にウルティアの魔法により手にいれたもの。ずっと使っているとばかり思っていたジェットたちはそれを見て驚愕している。
「進め若者よ、野風の如く」
大いなる光に包まれたエルザ。その光が晴れた時、彼女は金と青の初めて見る鎧を身に纏っていた。
「天一神の鎧!!」
地べたに座り込んでいる水髪の女性と、その横に立
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