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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
強くなりすぎた男
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にも分があると考えていい。
絶対に負けることができない戦い。それゆえに、両者は一切の隙をなくし、いまだ動かないのである。

「この領域には、ただ戦闘能力を高めただけでは絶対にたどり着くことができません。絶対に切れることのない集中力。何事にも動じない強き精神力。相手の動きを見抜く力。そして、何があってもブレない想い。それらすべてを極めたものにのみできる戦いなのです。
その領域に彼らは踏み込んだ・・・いえ、レオンがシリルを引き上げたといった方が正しいでしょうか?」

すべての魔導士を超越するほどの力を持つレオン。彼と戦っているこの状況だからこそ、シリルの意識が研ぎ澄まされていき、今のレベルまで・・・彼と同じ領域までたどり着いたのだ。もし仮に、この戦いが終わった後、もう1度同じことをやれと言われても、2度と行うことはできないであろう。それだけハイレベルな状況なのである。
一瞬の判断と見極めが全てを決する対決に、ざわついていた観客たちも次第に口数が減っていき、いつしか会場は大会中とは思えないほどの静かな状態へとなっていた。

(この勝負・・・俺が入っていける場面じゃねぇな・・・)

水髪の小さな少年の後ろに座り込んでいる黒髪の男はそんなことを考えていた。自分がレオンの注意を引ければそれに越したことはない。しかし、彼には動く気力もほとんどなく、ましてやこの魔力を限界まで高めた2人の間に割って入る勇気もない。

(見届けてやるぜ。どっちが勝つのかをな)

一番の特等席で、この大会一の戦いを観戦することができると、男はその場で黙って、幼き2人の天才の戦いを食い入るように見つめていた。










どれほどの時間が経ったのであろうか。互いに大いなる魔力を腕に纏わせた2人の少年はただ相手をじっと睨み付け、彼らの間を吹き抜ける風の音だけが周囲に響き渡る。

ポタンッ

ふと、一粒の汗が少年の頬から地面へと落ちた。しかし、それが流れた跡を少年は拭うことすら許されない。自分の意識が目の前の少年からわずかにでも逸れれば、その瞬間に勝敗が決してしまうからだ。

(やべぇ・・・マジで隙がねぇな・・・)

心の中で毒づいたのは少女のように麗しい美少年。彼の細い腕には、奥義を発動させるための水と風がなんとか維持されていた。
魔力を一定の場所に維持し続けるだけでもかなりの体力と気力を使うにも関わらず、それにプラスして相手から一切注意を逸らしてはならない。さらには、自分自身が相手から攻めてこられないようにわずかな隙すら作ることを許されない。そのあまりの緊張感は、徐々に徐々に少年のわずかに残された気力と体力を奪い去っていく。

「くっ・・・」

少年の表情が一瞬歪んだ。大半の人間にはわからないほどの動きであったが
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