強くなりすぎた男
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左腕に纏わせていく。
「チッ。おいガキ!!どうするつもりだ!?」
「どうって言われましても・・・」
時間稼ぎのせいでかなりの傷を負ってしまったガジルは全く身動きを取ることができない。シリルもまさか腕が使えなくなってしまうとは予想していなかったらしく、このあとどうすれば良いのか、考えが纏まらない。
「どうしたの?シリル。早くお前も魔力を溜めろよ」
「え?」
焦る2人を見据え、最強の魔導士へと覚醒を遂げたレオンがそう言う。
「『片腕が使えなくなったからレオンに負けた』って思われたくないからね。こっちも左腕しか使わない。正々堂々と戦ってあげるよ」
もはやシリルとガジルが2人がかりで挑んでいる時点で決して正々堂々とは言えないが、これは彼らに取ってはありがたい提案だ。
「その余裕・・・後悔させてやるぜ!!レオン!!」
「来い!!シリル!!」
シリルは右腕に水と風の二属性を集中させていく。3日目の競技パートで見せたあの奥義を使うため。
『さぁ!!大変なことになってきました!!レオンとシリル!!共に奥義の体勢に入っています!!果たしてどちらの奥義が敵を射抜くのか!?』
今まで数々の敵を撃破してきた滅竜奥義。それに対するは強化素材でできた魔水晶ビジョンをも破壊する絶対的な力を持った滅神奥義。それを放つ2人の少年は、相手に半身になるように構える。
「「・・・」」
敵を見据え、今すぐにでも相手に向かっていける準備は整っているはずの2人。それなのに、両者は互いに一歩も動かない。それはまるで、その場所だけ時が止まってしまったかのように皆の目に映った。
『ど・・・どうしたのでしょうか?先程まで激しい戦いをしていたシリルとレオン。その2人が突然動かなくなってしまいました』
『ん?』
『か・・・カボ?』
観客たちもなぜ2人が動かないのか、理解をすることができずにざわつき始めている。
一時は魔水晶ビジョンが故障したのかとも思われたが、2人が時々瞬きをしているのが確認できるのでその可能性は否定される。
あまりの静かさに、皆不気味さを感じていた。
「すごいですね、この2人は」
全く動きを見せないシリルとレオンを見てそう口を開いたのは妖精軍師ことメイビス・ヴァーミリオン。彼女の周りにいる妖精の尻尾の面々は一番前にいる少女が2人に感心している理由がわからず、顔を見合わせている。
「初代?これの何がすごいんだ?」
「ただ動かなくなってるだけじゃねぇのか?」
マカオとワカバが皆の考えを代表して彼女に伝える。それを聞いた少女は「フフッ」と可愛らしく微笑む。
「戦いというものには、様々な種類があります。どちらかが強すぎれば先程の
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