第二十話 二学期その十四
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「正直なところね。先輩だって完璧じゃないんだし」
「それはあるわよ」
「あるの」
話を聞けば聞く程落ち込んでいくのを感じます。
「確かにいい人だとは思うわ」
今までだとそれを言われると嬉しかったのに今は。落ち込むだけです。
「それでも。それだけじゃないから」
「人っていうのはね」
「そうなのかしら、やっぱり」
私はこう考えるようになってきました。
「先輩もそんな顔があるのかしら」
「だから。落ち着いてね」
「それでもあれよ。先輩が優しい面を強く持っているのは事実よ」
そのことは間違いないです。それでも。
「それでも。人ってのは一つじゃないから」
「それは覚えておいて」
「わかったわ」
「これって先輩だけじゃないしね」
そのうえでこうも言われました。
「ちっちだって同じよ」
「私も?」
「ええ、そうよ」
「私達だって多分ね」
お話がかなり真面目なものになりました。そのお話の中で私は色々なことがわかりました。
「一つじゃないわよ」
「色々な一面があるのね」
「そういうことよ。覚えておいてね」
「ええ。私も先輩のことあまりよく知らなかったのね」
それでも先輩は大好きです。確かに凄く怖くて残酷な一面があるみたいです。けれどそれ以上にとても優しい人なのは間違いありませんから。
「今までは」
「一緒の部屋に何ヶ月もいても変わらないのね」
「そうみたいね」
また皆で言い合います。
「中々わからないものがあるのね」
「家族だってそうだし」
私だってお父さんやお母さんのことを全部知ってるわけではないです。言われて気付いたことです。
「ずっと一緒にいてもね」
「見えないところがあるから」
「将来一緒になる人だってそうね」
「一緒になる人も。同じなのね」
「問題なのはあれよ」
「あれ!?」
「今ちっち凄いショック受けてるわよね」
こう言われました。そしてそれは。
「そうよ」
その通りです。長池先輩のことは噂で聞いていましたけれどそれでも。本当だとは全く思っていませんでしたけれど。それがまさか。
「信じられないわ」
「そこなのよ」
そこがって言われました。
「何を見てもショックを受けないことなのよ」
「それなのね」
「そう。それはしっかりとしていて」
こうも言われました。
「それで好きな人を嫌いになったら悲しいじゃない」
「悲しいの」
「そう、悲しいことよ」
このことを強く言われます。
「それは覚えておいてね」
「ええ」
先輩を嫌いになんかなれないですけれどそれでも。あの先輩にそんな一面があったなんて。とても優しい方とばかり思っていたのに。
「じゃあ。そろそろ」
「そうね。授業ね」
もうそんな時間でした。天理高校は毎朝参拝があ
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