第二十話 二学期その十三
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「先輩が反省しているかどうかわからないけれどね」
「反省していない?」
「だってあれじゃない」
「あれっ!?」
「誰だって悪いことをしたら反省しないと」
「先輩はそんなことしないわよ」
まだ信じられないです。先輩に限ってそんなことは。そう思っているんですけれど。
「本当にいい人なんだから」
「あのね、ちっち」
自宅生の娘の一人の顔が変わりました。それまで笑っていたのに真剣なものになります。
「そんなに先輩を信じてるの?」
「信じてないわけないじゃない」
一学期どれだけ先輩に助けてもらったかわからないのに。確かに話は聞きましたけれど先輩がそんな酷いことをするなんてことも思えないし。嘘みたいです。
「先輩とは一緒の部屋だし厳しいことも言われたことないし」
「いつも優しくしてもらってるってこと?」
「何かあったらすぐに相談に乗ってくれるし」
そのおかげでやってこれたし。そんな方が酷いことする筈がないですけれど。
「それでそんな人の心の傷刻み込むなんてこと」
「心の傷ね」
「そうよ。間違っても」
「人は誰だって間違えるわよ」
今度は別の娘から言われました。
「はっきり言っておくけれどね」
「間違えた時にどうするのかが大事なのよ」
「ちょっと、いい加減にしてよ」
本気で頭にきました。今の言葉って。
「それだと先輩が卑怯みたいじゃない。幾ら何でも言い過ぎよ」
「言い過ぎっていうけれどね」
「先輩がそういうことしてきたのは間違いないわよ」
「間違いないって」
「これ、三年の人達の間じゃ有名なことなのよ」
「有名って」
私にとって信じられない話が続きます。聞きたくないのに聞かずにはいられません。
「長池先輩ね、かなりやり過ぎる時があるから」
「やり過ぎるって」
「じゃあね、もうちっち」
今度は何時にも増して真剣な顔になって皆から言われました。
「はっきり言うわよ。ちっちが同じ目に遭ったらどう思う?」
「神殿で階段の上から怒鳴られたり校門のところで何人も待っていて色々言われたり。そんなことに遭わされたらどうなのよ」
「その人が何したのかによるけれど」
「何したっていうけれど高校生でそこまでされるようなことする?」
私はこう言われました。
「どうせ友達が何かあったとかそんな感じでしょ。それに先輩が出て行って」
「それでそういうことしたんじゃないの?先輩御自身の事かも知れないけれど」
「それでもね。そこまでするって相手のこと全然考えていないじゃない」
「相手だって間違えてってことかも知れないじゃない」
「っていうか普通にあれでしょ?おみちじゃないじゃない」
おみちじゃないって。話を聞いていてどうにもならなくなってきました。言葉が出なくなりました。
「気遣いとかそ
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