第二百四十一話 二度目の戦その六
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「既に天命は決まっておる」
「織田家の天下ですな」
「それは長く続きますな」
「最早魔界衆が何をしようとも」
「それは覆らぬ」
「そう言われますな」
「実際にそう思っておる」
最早魔界衆が何をしようともだ、織田家の天下は定まっているというのだ。長政はそれが何故かもここで話した。
「天下の政が出来ておる、だからな」
「織田家の天下は磐石になろうとしている」
「だからですな」
「あの者達が何をしようとも」
「天下は定まりますな」
「そうじゃ、それに所詮は左道」
長政は妖術については忌々しげに否定した。
「左道で人は惑わせてもな」
「それでもですな」
「天下を治めるものではない」
「そう仰るのですな」
「左道で覆った天下はない」
長政ははっきりと言った。
「天下は政によって支え動かすもの」
「左道はただ惑わすもの」
「人を」
「それ故にですか」
「あの者達がどういった左道を使おうともですか」
「だから神武帝に敗れ」
そしてというのだ。
「それからも政を担ったもの、正しき術を使った高僧や陰陽師にな」
「退けられている」
「そういうことですな」
「だからこれまで天下を覆ることが出来なかった」
「一度たりとも」
「思えばそうじゃ、所詮はじゃ」
左道、そしてそれを使う魔界衆はというのだ。
「あの者達はそうした者達じゃ」
「小さいですか」
「天下を乱しこそすれ動かすには至らぬ」
「そうした者達ですか」
「結局のところは」
「その様な連中を倒すのにじゃ」
それこそというのだ。
「焦ることもないわ、そもそも戦は焦ったら終わりじゃ」
「ですな、だからこそ普段以上に落ち着き」
「そして、ですな」
「戦の場に出て倒す」
「それだけですな」
「そういうことじゃ、戦はするが」
しかしというのだ。
「落ち着いていくぞ」
「さすれば」
「我等もその殿と共に」
「落ち着きそのうえで」
「攻めまする」
浅井家の家臣達も言う、そして。
その長政を後ろから見つつだ、信長は言った。
「ふむ、猿夜叉は九郎判官じゃな」
「義経公ですか」
「あの方は」
「そうなのですな」
「まさに」
「うむ、よき武の持ち主じゃ」
その源義経に匹敵するまでの、というのだ。
「あ奴がいるだけでも大きい」
「屋島の戦いは義経公によって源氏が勝ちましたが」
「この度の我等が戦う屋島の戦でもですか」
「義経公殿がこちらにおられるので」
「勝つのは我等ですか」
「そうなりますか」
「そうなる、とはいってもわしは頼朝公とは違う」
信長は義経の兄であった彼についてはだ、眉を少し顰めさせてこう言った。
「あの方はどうもな」
「ですな、源氏自体が」
林が信長に応えて言った。
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