第二百四十一話 二度目の戦その一
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第二百四十一話 二度目の戦
果心居士から授かった呪文を旗に書きつつだった、信長は魔界衆との次の戦の用意を進めていた。その中においてだ。
信長は九鬼にだ、強い声で聞いていた。
「では、じゃな」
「はい、水軍の方もです」
九鬼は信長に確かな声で答えた。
「整っております」
「何時でもじゃな」
「戦えます」
「ならよい、そしてじゃ」
「はい、あの者達を倒してからですな」
「海に乗り出してじゃ」
そのうえで、というのだ。
「進んでいくぞ」
「美麗の島に呂宋に」
「国のない場所にな」
「進出してですな」
「そこにおる者達も民として」
日本の、というのだ。
「治めていくぞ」
「では」
「島が多くあるという」
南の海には、というのだ。
「だからな」
「その島々をですか」
「手に入れていく、しかし」
「しかしとは」
「スペインやポルトガルじゃが」
そうした国々は、というのだ。
「どうも危険な様じゃな」
「そうなのですか」
「うむ、どうやらな」
信長は九鬼に剣呑な顔になり話した。
「国のない場所、国があっても無理に攻め滅し」
「話すことなく」
「そうしてじゃ」
「その国を自分達に入れて」
「民を無理に耶蘇教の信者にしてな」
そうして、というのだ。
「奴隷、いやそれそのものとして扱うという」
「奴隷、ですか」
奴隷と聞いてだ、九鬼も驚いて言うのだった。
「民達をその様に扱うのですか」
「普通の民ではなくな」
奴隷に、というのだ。
「そうして扱っておるという、しかも無闇に惨たらしく殺すという」
「そうした国だったとは」
「上様、それではです」
すぐにだ、控えていた羽柴が信長に言って来た。それも血相を変えて。
「これからスペインやポルトガルとは」
「付き合いを考えていかねばな」
「それがよいかと」
「御主は唐入りを言っておったが」
信長は羽柴が明を攻めることを言っていたことを言った、実は彼は前からそうしたことを言っていたのだ。
「しかしな」
「明よりも」
「あの国とは普通に付き合ってよいが」
「スペインやポルトガルは、ですか」
「用心した方がよいな」
「耶蘇教を武器として攻めてきますか」
「その様じゃ、フロイス達は違うが」
しかし、というのだ。
「そうした性質の悪い坊主もおるな」
「伴天連の坊主には」
「だからじゃ」
それ故にというのだ。
「スペインやポルトガル、特に耶蘇教の者達とはな」
「付き合いを考えていきまする」
「そうした方がよいな」
「そういえば」
ふとだ、林が気付いた様にして言った。
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