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真田十勇士
巻ノ二十八 屋敷その五

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「一度に食えますから」
「その通りじゃ、汁にしてもな」
「ですな、それでは」
「そうして食っていきましょうぞ」
「質素でありながらも身体によく」
「そうして食っていきましょう」
「そうしようぞ、鎌倉の頃の武士の様にな」
 幸村はその頃武士を手本にすると述べた。
「質素でありながらも身体によいものをじゃ」
「そして日々鍛錬に励む」
「そうしていきますな」
「そうしようぞ、戦に備えてな」 
 幸村は微笑み十人に言ってだった、実際に日々質素ながらも身体によいものを食いそのうえで城での勤めや上田の領内の見回りに修行を続けた。
 そしてだ、日々忙しい中でもだった。
 学問も続けた、その中でだ。
 幸村は父昌幸にだ、城の中で言われた。
「上杉家とは話がついた」
「では」
「うむ、この上田に来ることはない」
 上杉家の勢力はというのだ。
「攻めて来ることはな」
「それはよいことですな」
「そして北条家もな」
 次に言うのはこの家のことだった。
「徳川家と話をしてな」
「そして、ですな」
「信濃自体に来ることがなくなった」
「では」
「うむ、最後は徳川家じゃが」
「来ますか」
「その進みはゆっくりとしておるが」
 それでもというのだ。
「やはりあの家がじゃ」
「上田に来ますか」
「攻め寄せて来る」
 こう幸村に言う。
「間違いなくな」
「ですか、では」
「当然話をするが」
「その話がまとまらねば」
「その時はな」
「戦ですな」
「覚悟はしておく様にな」
 腕を組み真剣な面持ちでだ、幸村に言うのだった。
「すぐには来ぬが」
「やがては」
「だから今から手を打っていくぞ」
「打てる手を全て打ち」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「戦をするからな」
「わかり申した」
「当然御主と家臣達にもな」
「出陣して」
「戦ってもらうぞ」
「はい、ではその時は」
 出陣したならとだ、昌幸は話していく。
「戦いまする」
「そうせよ、よいな」
「はい」
「もっとも出来る限りはな」
「戦を避けますな」
「避けられるなら避けるに限る」
 戦はというのだ。
「だからな」
「父上のお考えですな」
「百戦百勝はじゃ」
 それはとも言うのだった。
「よくはない」
「戦わずして済むのなら」
「それでよいからな」
「徳川殿も決して戦を好む方ではないですな」
 幸村はその徳川家の主である彼のことも話した。
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