第41話 アナトレーの森
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ないのは常識だったので、その常識を覆すような食物の摂取が出来る自身の主やルイン達に驚く。
「ハルピュイアはエックスとルインお姉ちゃんの子供なんでしょ?食べられるんじゃないかな?」
「…………」
ハルピュイアは飴玉をジッと見つめる。
レプリロイドには人間と同じ食べ物を食べる能力はない。
いや、正確には現在のレプリロイドはと言った方が正しいが。
度重なる争乱で、食料の確保が難しくなってしまい、レプリロイドにそんな機能を付けるくらいなら性能を向上するために食物摂取機能を取っ払ってしまったのだ。
今のレプリロイドに出来るのは経口摂取したエネルギーを内部のエネルギータンクに溜めることぐらいである。
そう、飽くまでも溜めるだけ。
いや、アルエットの言う通り、主のエックスが食べられたのならエックスを基にして、体の内部構造が殆ど同じである自分なら味を感じたりは出来るかもしれないが、これを食べて体に異常が起きたりしたらとんだ大恥をかくことになる。
断ろうとアルエットに飴玉を返そうとした時。
「…………」
期待の眼差しで自身を見つめるアルエットの姿があった。
あまりにも純粋なそれにより、ハルピュイアの手が引っ込む。
もし飴玉を返してしまえばアルエットが泣いてしまうのは間違いないし、アルエットを泣かせてしまえばルインも怒るに違いない。
一応ハルピュイアには子供を泣かせる趣味はないため、渋々飴玉を口に入れた。
「………ん?」
口の中に広がる今まで感じた事のない感覚を覚えつつ、無意識にハルピュイアは今まで知識としてはあっても今日まで縁がなかった言葉を呟く。
「美味い…」
飴玉はどうやらマスカット味のようで、程良い酸味と甘味が口の中に広がる。
「本当?」
「ああ」
すぐさま内部機関を分析してみた結果、物を食べられるどころか、食べた物の栄養をエネルギーに変換している事に気付いてかなり驚いた。
今まで、自分はネオ・アルカディアの食生活については人間の議員に任せていたが、かつてネオ・アルカディアの統治者であったエックスの補佐として、統治者代行として人間の食生活についてもっと考えるべきだっただろうかと一人思考するのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ