第33話
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抱かず、どこまでも献身出来る武将である。張遼のような――
そのような経緯から華雄はしこりを残したまま連合と対峙している。しかし彼女のソレは、皮肉にも敵の総大将の言葉で消え去った。
思えば自分が街の調査をしたのも、万が一主が道を踏み外していた場合それを正そうと考えていたのだ。
張遼とはまた違う形だが、華雄のそれも紛れも無い忠臣の証である。
「フフフ……アッハッハッハッ!」
「か、華雄様!?」
突然笑い出した華雄に部下達から『姉御ォ!』と、心配そうな声が上がる。
それを手で制し、華雄は顔を上げた。
「無論! 私は真の忠臣としてこの場に立っている!!」
その時、突風が吹いた。
それは大きな砂埃を作り上げ、水関に居る華雄軍を覆い隠したが――
「……フンッ」
『オオッ!』
華雄が戦斧を横薙ぎに一閃、振り払う。
武芸大会で辛酸を舐めさせられた彼女の武は、自身の得物『金剛爆斧』を片手で扱えるまでに磨かれていた。
「もはやこれ以上の問答は不要! 死にたい奴から前に出ろ、一人残らず我が戦斧の錆に変えてくれるわッッッ!!!」
『オオオオオオオオオォォォォォッッッッッッッ!!』
まさに咆哮。
馬に跨う者達は驚く愛馬を御す事に苦心し、歩兵達は僅かに肩を震わせる。
微動だにしない御輿は流石と言うべきか。
「見事だ……華雄」
拡声器を離し袁紹は呟く。先程の問答には暴政の真偽を確かめる狙いがあった。
袁紹の見立てでは、華雄は放たれた矢のように真っ直ぐな人間である。疑問が出来たら己の目と耳で確かめるタイプだろう。そしてあの言葉『主が道を踏み外せばそれを正すのが真の忠臣』
それに対して華雄は自分こそが真の忠臣であると宣言してみせた。
恐らく彼女なりに噂の真偽を調査し、董卓の潔白を確信したのだろう。
「劉備軍に伝令、『華雄攻略を開始せよ』」
「ハッ!」
矛盾する想いがある。華雄攻略の指示を出したが、死んで欲しくない。
華雄の威風堂々とした姿は、その地に居る全員の記憶に刻み込まれた。
「ヒャッハー! 流石姉御だ、連合の奴等ぶるってるぜぇ」
「華雄様、連合軍に動きが!」
「前に出てくるのは何処の軍だ?」
「軍旗から察するに……劉備軍かと」
「……チッ」
兵士から舌打ちが聞こえてくる。
開戦に至るまで董卓軍はのんびりしていた訳ではない。兵力や門の補強、軍師である賈駆が特に力を入れたのは情報だ。
連合軍に集う諸侯、兵力、武将、その他諸々調べ上げている。華雄軍は一兵卒に至るまでその情報を頭に叩き込んだ。
その中には劉備軍の情報もある
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