第1部〜4月〜
第1章 覚醒
臨死と高揚
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チなのか。あんなに頼もしかった二人が、ここまで追い込まれる相手なのか、あれは
「すまん。少し待っててくれ。そこの路地に隠れてろ」
男は僕の手を離し、奴と対峙する。男は懐から銃をだした。
頭に当てる。
「こいっーー」
頭を打ち抜いた。衝撃映像だった。男は死んでいない。それどころか、見間違いでなければ、男の中から何か出てきようにみてる。いや、出てきたのだ。
金髪の人形のような。青い瞳の
「少女が、出てきた?」
「アギラオッ!」
男がそう唱えると、少女の手から炎が出る。やつに命中すると、奴の注意が男の方へと向く。
「立てるか!?京子ちゃん!」
「心配は……ない」
ふらふらと立ち上がる女に目を向けている男。そして、奴の攻撃がくる。
手に持った銃を男へと構えると引き金を引いた。二丁の銃を連射する奴。攻撃をなんとか躱すも??
「ぐっ……」
連射していた弾の一発が足を捉える。倒れる男。弾丸により打ち抜かれた箇所から血が流れ出ているのがわかる。
そして倒れた拍子に男の手に持っていたあの銃が
僕の目の前に転がってきた。
「はやくっ……逃げろっ!!」
この時自分でも何故こうしたのか分からない
この圧倒的絶望の元で
少女の声が頭に響いた
――私は貴方であり貴方は私です。
この状況、貴方はどうされたいですか?
どうされたい?そんなこと決まってる。いつものように気がついたら朝だったっていう日常が欲しい。それだけだ。
ーーなるほど、承知いたしました。なら私は我が主である貴方に忠誠を尽くしましょう。貴方がお望みであらば力を貸します。しかし契約をしてしまったからには、途中で投げだすなんて許されません。よろしいのですか?
どうでもいい。このままじゃ奴に殺される。それに逃げられたとしても僕を助けてくれたあの二人は助からない。僕は借りた恩は返す主義なんだ
ーー意外と芯の強いのですね……
あんたは僕なんじゃないのか
ーー自分自身で分かっていないことというのもあるのですよ?ジョハリの窓をご存知でしょうか?
「御託はいい」
僕は足元の銃を拾い上げる
「力を貸せ」
いつの間にか左手、つまり銃を持っていない方の手にはカードが握られていた。タロットカード。
アルカナは月
「ぺ」
使い方が何故かわかる
「ル」
銃口を頭に突きつける
「ソ」
恐怖はない。気持ちは逆に
高揚している
「ナ」
僕は引き金を引いた
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