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歌集「春雪花」
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 眺むれば

  儚き白妙

   纏いける

 君なき里に

    雪は降りつつ



 眺めれば、どこもかしこも白い衣を纏ったように真っ白な雪に覆われている。

 そんな彼のいなくなったこの里に、今も淋しげに雪が降り続いている…。

 いつかは春になる…そう分かってはいるが、私の恋路に…春はやってきそうもない…。



 如月の

  夜も更けにしは

   静かなる

 あわでこの世を

   すぐしてよとや



 この土地の二月は、雪に覆われた真冬…。
 そんな田舎の夜は、更けゆくほどに静まり返り…その静かさに寂しさが沁みゆくほどだ…。

 そんな夜を、彼に会えもずに一生…一人で過ごせと言うのだろうか…?

 彼を想い…恋しさを募らせて、こんな寂しい夜をずっと…過ごさねばならないのだろうか…。




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