アインクラッド編
平穏な日々
長い長い休息を
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んだのだ。
ごめん。
アスナさんの執務室のソファーで、僕はそっと頭を下げた。
「違う」
しばしの沈黙の後、キリトの声が頭上から降ってきた。
「お前のせいじゃないさ。 お前がいなかったら俺がクラディールを止めてた。 そうなればあいつの憎悪は結局俺に向けられてただろうし、今日のことはお前がいなくても起こっていた」
「でも、僕がいたから……」
「お前がいたから俺は助かったんだ。 だから謝るなよ。 俺はお前に感謝してるんだぜ」
おどけたように言ったキリトの言葉に、不覚にも涙腺が緩みかけた。
SAOの感情表現は少し過剰で、それでもどうにか溢れる前に堰き止める。
「フォラスさん」
ふと、頭上からアスナさんの声が届いた。
下げていた顔を上げると、そこには今にも泣き出してしまいそうなアスナさんと、そんなアスナさんを見て慌てたように視線を彷徨わせるキリトがいた。
「フォラスさんは私たちと交わした約束を破りました。 事情はどうであれ、約束は約束です」
「お、おい……」
「キリト君は黙ってて。 ……約束を破った代償は払ってもらいます」
「うん。 それはもちろんだよ。 もう誰も殺さないって、2人とそう約束したのを破ったのは僕だからね。 約束通り、僕は2人の命令になんでも従うよ」
約束。
ヒースクリフの保護下に入り、攻略組に復帰する際、僕はこの2人とこんな約束をした。
誰も殺さない。
ヒースクリフの出した条件と全く同じ内容ではあるけど、僕の中の優先度で言えばこの2人と交わした約束の方が大事だった。 言ってしまえば、ヒースクリフの出した条件に頷いたのは、2人と交わしたこの約束があったからで、その優先度は他の有象無象に対する何よりも高い。
その約束よりも2人の命の方が大事なのは言うまでもないし、アマリが大事なのも言うまでもないだろうけど。
正直に白状すれば、ある程度の危険を伴うとは言え、クラディールを殺さずに捕える方法はあることにはあった。 それを選択しなかった時点で、僕は2人に責められても何も言えないのだ。
「ねえ、アスナさん。 僕は何をしたらいいの?」
「では目を閉じてください」
「? まあいいけど……」
「そのまま動かないでください」
「…………?」
いまいち要領を得ない命令に首を傾げながら、それでも僕は従う。
と、アスナさんが立ち上がる気配を感じた。 そして、直後にこちらに向かってくる足音と気配。
ああ、ここでアスナさんの気が済むまでブン殴られるのか、と。 そんな未来を予想して身構えた瞬間……
「……え?」
僕はそっと抱きしめられた。
「え、え……ちょ、アスナさん?」
「
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