十七話:至誠通天
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、僕もそろそろ抜け出さないと怪しまれるか―――)
そう思い、足を踏み出した瞬間に凄まじい爆音と衝撃が切嗣の体を襲う。
こんな爆発は計画にはなかったはずだと慌てて振り返ると、そこは既に火の海だった。
炎の向こう側から聞こえてくる悲鳴に思わず硬直してしまうがすぐに頭を動かす。
これだけの爆発と炎はそう簡単に出せるものではない。
石油タンクでも爆発させなければこんなことにはならない。
だが、空港にそんなものがあるはずもない。つまり、原因は別の物にある。
この空港には裏の運輸による危険なものが運びこまれることがある。
そうなると、最も確率が高いのは―――
「ロストロギアか…ッ!」
自然と顔が歪み苦々し気に声を吐き出してしまう。
何らかのロストロギアが爆発を起こしたのならばこの被害の大きさも納得がいく。
寧ろ、ロストロギアならばこの程度ですんでよかったとも言える。
しかしながら、何故ロストロギアが爆発を起こしたのかが分からない。
切嗣は危険物の傍で爆発を起こすような愚行は犯さなかった。
ならば、火の手がそこまで回ったのか。だが、それもない。
火の回る道順は計算しつくした。仮に予想外の動きを見せたとしても幾ら何でも早すぎる。
何らかの人為的な作用がなければあり得ない。
そこで、先程から姿を見ていないドゥーエの存在を思い出す。
まさかと思い、炎の向こう側を睨み付けたところでモニターが現れ、この場に似つかわしくない異形の笑みが映し出される。
「やあ、首尾はどうかね?」
「何をした、スカリエッティ!」
「おやおや、まるで私が何かをしたかのような口ぶりだね。私はスポンサーからの指令を忠実に守り、ドゥーエを送っただけだよ」
「白々しい」
苛立ちを隠すことなくぶつけてくる切嗣に対してもスカリエッティは嗤うばかりである。
しかし、切嗣の予想通りにこの爆発はスカリエッティが望んだものである。
ロストロギア『レリック』。このレリックをスカリエッティはある目的の為に集めているのだが、何も鑑賞するために集めているわけではない。
利用するために集めている以上はその性能を知っておく必要がある。
そのために今回は密輸されたレリックを他者に回収される前に“テスト”に使用したのだ。
魔力を注ぎ込んだ場合に起きる爆発の遮蔽物があった場合の範囲、威力などのテスト。
それを忍び込んだドゥーエが行ったためにこの火災は起きたのだ。
因みに最高評議会もレリックとこの件に関しては知らず、スカリエッティの独断だ。
もっとも、最高評議会としては多少の犠牲と空港の破壊は当初からの予定であるためにロストロギアが使われたこと以外はさほど気にも留めないであろうが。
だが
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