プロローグB
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だよ」
「それは分かってるつもりなんだけど…」
フェニモールの不安を取り除こうと言葉を選んでみるものの一向に表情が晴れる様子はない。
少し強引ではあると思いながらも、フェニモールの頭に手を乗せる。
「大丈夫。何があってもお前とテューラ、ここの水の里は俺が守るよ。安心してくれ」
フェニモールが落ち着くように、ゆっくり、頭を撫でながら言葉をかけていく。
物憂げな表情から少しずつ柔らかな表情に変わっいくのが感じ取れる。
フェニモールが落ち着いたのか、こちらを見上げる。
「うん、分かった。約束よ?」
「ああ、任せとけ」
俺は出来る限りの笑顔を向けるとフェニモールの顔から笑顔が戻る。
「いちゃついているところ悪いんだけど、そろそろ出発しない?帰り遅くなるよ?」
フェニモールが落ち着いたと見や否や、茶化すような声色でテューラが声をかける。
俺としては名残惜しいが、フェニモールがまたも顔を真っ赤にしながら俺の手を払いのけ、テューラを睨み付ける。
「い、いちゃついてなんかいないわよ!変なこと言わないで!!」
「はいはい、頭撫でられて良かったねー、お姉ちゃん?」
「テュゥーラァァー!!!!」
「キャー、お姉ちゃんこわーい!」
フェニモールがテューラに近づき頬をつねって伸ばす。
痛そうにしてるテューラだが、フェニモールに元気が戻って安心したのかテューラにも元気が戻る。
正直姉妹のやり取りを暫く眺めてはいたいと思う気持ちをぐっと堪えて馬車に乗り込む。
「じゃあ、そろそろ行ってくる」
「あ、うん。気を付けて行ってきてね?」
テューラの伸ばしていた頬を手放し俺に顔を向ける。
テューラは頬を擦りながら俺の隣に座り直す。
「あぁ、なるべく早く帰ってくるよ」
「うん。行ってらっしゃい。テューラもフォルナの言うこと守りなさいよ」
「言われなくても分かってますー」
「はは、じゃあ、行ってきます」
俺は馬に鞭を打ち走り始める。
フェニモールが手を振りながら送ってくれるのを尻目に街へと向かう道を走る。
「テューラ、欲しいもの決めとけよ?」
「ちゃんと考えてるよ。お姉ちゃんに誕生日忘れてたってこと伝えてないんだから、そこら辺も考慮してね?」
「…善処します…」
街へと向かう道は雲一つない青空だと言うのに、俺の財布に雨が降るのはなぜだろう…
そんな思いを抱きながらも、馬は変わらずの速さで街へと走り続ける。
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