プロローグA
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「ななな、なんで服着てないのよ!!」
顔を真っ赤にしたフェニモールが勢いよく背を向ける。
そう言われて俺は顔を下に向ける。
そういえば着替えようとして服を脱いでいたのを忘れてた。
シャツも汗ばんでいたから脱いでいる。
つまり?
「あー…すまん、フェニモール。まさか着替え中に入ってくるとは思わなかったもので。」
「いいい、いいから!!早く着替えて!!」
「まあ、パンツ姿だったから特に問題ないだろ。ってか何そんなに顔赤くしてんだよ。」
「誰だって赤くなるわよ、バカ!!と、とりあえず早く着替えてリビングに来ること!分かったわね!」
フェニモールはそういって部屋から出ていく。
残された俺は少し釈然としないながらも着替えを済ませる。
今部屋に入ってきた少女はフェニモール。俺が居候させてもらっている家の長女だ。
15歳の時、俺を拾ってくれた村長が老衰で倒れてしまった。
その時は一人暮らしでも始めるかと考えていた時、幼いころから遊んでいた所謂幼馴染の、フェニモールと妹のテューラが何かと心配してくれ、気が付けば自分の親まで説得し家に住むことが決まっていた。
俺としては、5歳も歳下の女の子に気を遣わせてしまったことに情けなさを覚えるものの、正直誰かと暮らせることは嬉しかった。
まあ、フェニモール達の両親も気さくで優しい二人であることも居候しようと思った要因でもある。
「うーん、それにしても何慌ててるんだろう?今日何かあったっけ?」
部屋から出てリビングに向かう途中、記憶を遡らせながら階段を下りる。
「おはよー。」
「ん、おはようテューラ。フェニモールは?」
「顔真っ赤にして出て行ったよ。」
「そうか。」
テューラが笑いながら答えてくれるのを聞きながら台所に向かう。
「あ、お母さんが朝ごはん作っておいたから食べてから行きなさい、だって。」
「分かったよ、サンキュー。」
サンドウィッチが並べてある皿を持って、テューラの前に座る。
「なあテューラ。今日何か予定あったっけ?」
「…本気で言ってる?」
サンドウィッチを頬張りながらテューラに質問をすると予想以上に反応が悪かった。
まだあどけなさが残る顔立ちからの笑顔の中に、怒気が含まれていることを瞬時に理解する。
「い、いや。ちゃんと覚えてるよ、うん。」
「ならいいんだけど…ちなみに今日は何の日でしょうか?」
「きょ、今日?えーと…。」
鬼気迫る笑顔から顔を背けつつ必死に脳を活性化させる。
何の日?記念日とかだっけ?結婚記念日?誕生日?…誕生日?
「…あっ!」
「やーっと思い出しましたか。では今日は何の日ですか?」
「…フェニモールさんとテューラさんの誕生日です、はい。」
「だいせいかーい。よく出来
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