真価
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し、そこから先の体勢に持っていくことが出来ない。
「手加減しようとすると、結構難しいな・・・」
自身の左手を見てそう呟くのは金色の少年。彼はガジルの鉄でできた体も一瞬で貫こうと思えば貫けるのである。しかし、それはつまり敵を殺してしまうことに等しい。1年前、自分の魔法で大切な1つの命を奪ってしまったレオン。彼は二度と同じ過ちを繰り返さないために、強くなりすぎた今の自分を制御しているのだ。
『さすがに苦しそうなガジル!!激しく呼吸を繰り返すだけで全く動く様子がないぞぉ!?』
『レオンくんがあまりにも強すぎる。おまけに、彼は直に魔法を体に打ち込むのではなく、掠らせるように攻撃を繰り出しているからねぇ』
『確かに。あんなのをまともに受けてしまえば大惨事になってしまうカボ』
実況席もレオンがあえて自分の能力を最大限に生かす行動をしていないのはわかっていた。もし彼の一打が決まっていれば、すでにシリルもガジルも立ち上がるどころか、この場に生存できているのかもわからない。
「でも・・・さすがにそろそろ・・・!!」
ゆっくりと振り返ったレオンの目に、1人の少年が飛び込んでくる。少年は手をつき身動きが取れない黒髪の男の前に立ち、構える。
「ガキ・・・おめぇ・・・」
「ありがとうございました、ガジルさん」
まともに呼吸するのも苦しくなっているガジルに軽く視線を落とし、お礼を言ってから目の前の脅威を見据えるシリル。
「1回だけ・・・使える手が思い付きました」
真剣な眼差しの少年。彼は圧倒的な力を誇るレオンにビビることなく、真っ正面から向かい合う。
「確実かどうかはわかりません。でも、これが決まれば・・・間違いなくレオンの精神を揺さぶれます」
誰にも止めることができない少年の猛攻。それを止めるためには、彼の力を上回るよりも先に、彼の精神を乱して好機を手に入れようと考えたシリル。彼はそう言うと自身の水と風を左手に纏わせていく。
「来い!!レオン!!」
一体どんな作戦なのかは誰にも予想がつかない。だが、シリルは何やら自信満々な表情でレオンを挑発する。
「いいよ。全力の気持ちには全力で答える。それが“愛”だって、シェリアが言ってたから」
片足を一歩引き、半身の体勢になるレオン。彼は後方に位置する腕に氷の渦を纏わせていく。
「滅神奥義!!」
大気が震え、辺りが凍り付いていく。まるでレオンの腕に周囲の魔力が全て集まっているかのような、絶対的な力が彼の元へと集まっていく。
「ま・・・待って!!レオン!!」
「それは危険すぎますわ!!」
「また同じことを繰り返すつもりかい!?」
蛇姫の鱗のラウル、シェリー、オーバが声を張り上げ、レオンに魔法を止めさせ
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