真価
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は、たまらず尻餅をついた。
「ゴホッ・・・ゲホ・・・」
咳をするたびに彼の口からは血のしぶきが吹き出す。それを遠目から見守っていた水髪の少年は、懸命に頭の中で作戦を考えていた。
(どうしよう・・・どうすればレオンに勝てるんだ・・・)
まだ本気を出しているようには到底思えない氷の神に、恐怖心が芽生えない訳がない。戦っている青年も、次に戦う少年も、手の震えが収まらない。
それでも黒髪の男は立ち上がり、必死に時間を稼ぐ。それぐらいしか今の自分には出来ないのだとわかっているから。もし何か突破口があるなら、それを見出だせるのはシリルしかいない。
(くっ・・・魔力の流れならなんとか見えるかも知れないけど・・・動きが速すぎて反応が・・・)
そこまで考えて少年はある文章を思い出す。
「『相手の魔力の流れを見極め、動き、魔法の強さ、種類を見切る。さらにはその魔力の流れを自らのものに出来ればその魔法に“似た”魔法を使える・・・可能性がある』・・・だったかな?」
ポーリュシカから与えられた自分宛の魔導書。その一文を思い出した彼の頭の中に、1つの作戦が浮かぶ。
(魔力の流れを見極めることができて、自分の魔力も同じように扱えればその魔法に近い技を繰り出せる可能性があるんだったな・・・もしかしたら、それが今回レオンを攻略する糸口になるかもしれない)
誰かレオンの魔法に対抗できる魔法を扱う人がいて、それを自分が繰り出せれば勝てるかも知れないと考えたシリル。しかし、すぐにあることで行き詰まる。
(誰の魔法ならあれに対抗できるんだ?)
ジュラの岩鉄壁もカミューニの波動の章もあっさり破ってしまうであろうレオンの魔法。例え誰かの魔法が出来ようとも、彼のパワーに対抗できなければ意味がない。
(誰だ!?誰ならレオンに対抗できる!?)
必死に頭の中で様々な人物の魔法とその時の魔力の流れを思い出すシリル。しかし、これといった魔法を使える人物が思い浮かばない。
「ぐああああああ!!」
シリルが悩んでいる間にも、強大すぎる敵に挑んでいるガジルは打ちのめされていく。
『あぁっと!!ローグを圧倒した鉄影竜のガジル!!彼をもってしても、氷の神!!レオン・バスティアを止めることは出来ないのか!?』
実力に差がありすぎる両者。それでもガジルは歯を食い縛り、起き上がろうと足に力を入れる。
(早く!!早くしないとガジルさんが・・・)
どこから血が出ているのかわからないほど真っ赤になっているガジル。そんな彼を見て焦り、何も思い付かない自分に苛立ちを募らせるシリル。だが、
「あ・・・」
そんな彼の目に、1人の少女が飛び込んできた。銀色の長い綺麗な髪をした、見た目はお人形のように美しい少女。し
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