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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
外伝 黒の修羅 中編
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好き」
目の前の少女の顔が急接近し、唇が重なった。
口づけを交わし、体を交わしたのはこれが初めてじゃない。今まで何度も繰り返したことだ。
だが、子供を作ろうとは思わなかった。
いつ死んでもおかしくない身の上だ、自分の子供を孕んだ女を一人この激動の時代に放り出すなんて無責任なことはしたくなかった。
「お願い、これが貴方の信念を曲げることだって分かっています。だけど、私は貴方が生きたいと思えるようになってほしい、貴方との繋がりが欲しいのです。」
「……ゆい。」
離れた唇が紡ぐ言葉。その必死な瞳―――今の彼女は師匠の元にいた時のゆい其の物だ。
一介の衛士ではなく、俺の婚約者であり理解者だったゆいだ。
………気づけば、俺は彼女の唇を奪い寝具へと押し倒していた。
「………後悔、するなよ。」
「それはあり得ません。私の情の深さ見縊ってもらっては困ります。私は私の理を以って挑んでいるのです、後悔などある筈が在りません。
――――でも一言、嘘でもいいから愛してると……」
「………ああ、俺もお前を愛しているよ。」
この時、初めて俺は嘘をついた。
彼女を愛しているのか其れがわからない。情があるのは分かっている、だがそれが愛なのかどうかは判別が付かなかった。
それでも、彼女に告げなければいけない気がした。たとえ嘘だとしても、まやかしだとしても……例え愛されなくても愛してくれると言ってくれた彼女に対する報恩なのでと思うから。
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