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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
平穏な日々
紅色の策略 05
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うよ、などど口にも思考にも上げられないアスナではあるが、どうしてもキリトを諦める理由が見つからないのも事実。 そして、キリトと彼女との関係性に疑問を持ったのもまた事実。

 「フォラスさんだったら詳しく知ってると思うけど……」

 どこぞの腹黒少年の名を呟いてから、アスナは盛大にため息を吐く。

 どこぞの腹黒少年はその辺りの事情を完璧に把握しているだろう。
 人の感情の機微や表情の変化に敏い彼のことだ。 うっかりすると当事者たち以上に理解している可能性さえある。
 かと言って、その辺りの事情を聞いたとしても素直に教えてくれるとは思えない。 昨日、《友達》などとアスナにとっては意外極まる単語を使って黒猫団の面々にアスナを紹介した彼だが、友達を相手にしたからと言ってペラペラと事情を話すような人柄でないことはアスナも知っている。

 知ろうと思えば本人たちに聞くのが手っ取り早いのだが、キリトはその手の人間関係の機微に疎いし、彼女とはそこまでの話しができるほど打ち解けていない。 と言うか、たとえ打ち解けたとしても流石に聞くのは憚られる。

 となると、やはりどこぞの腹黒少年に聞いた方がいいのかもしれない。 教えてくれるかどうかは別にして、聞くだけ聞いてみても無駄にはならないだろう。 そうと決まれば早速どこぞの腹黒少年を呼び出して……と、思考がそこまで行き着いたところで、メッセージの受信を知らせる電子音が鳴った。

 特に考えることなく開いたメッセージの差出人は、可愛い妹のアマリだった。

 「ーーーーっ!」

 そのメッセージを読んだ瞬間、アスナは短く息を飲んで、その直後に自身の執務室から飛び出した。 攻略組の中でもトップクラスの敏捷値を誇るアスナの疾駆。 ギルド本部の長い廊下をさながら光の速さで駆け抜けながら、アスナの鋭い眼光はひたすらに先を見据える。

 メッセージの差出人はアマリ。
 しかし、そのメッセージの本当の送り主を、アスナは聞かずとも察した。

 「お願い……間に合って!」

 今の今まで信じてもいなかった神に縋りながら、アスナは短い祈りを吐き出した。

 『キリトが殺される』
 たったそれだけの8文字は、アスナの平静を吹き飛ばすには十分だった。



































 「どうよ……どうなんだよ……。 もうすぐ死ぬってどんな感じだよ……。 教えてくれよ……なぁ……」

 狂気によって掠れた声を聞きながら、キリトは自分のHPが緩やかに、されども無慈悲に減少していく様を見た。 このままの調子でいけば確実に殺されるだろう。

 「なんとか言えよガキィ……死にたくねえって泣いて
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