2部分:第二章
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第二章
「強姦した相手に小便をかけたりな」
「はい、排泄物を食わせたりです」
「縛ってドブの中に捨てたりしています」
「これは」
「そのままだな」
中村はここで言い切った。
「怪しいなんてものじゃない」
「初犯の奴の可能性もありますが」
「それでもこいつはですね」
「やっぱり怪しいですよね」
「それもかなり」
「見込み捜査は危険だが」
中村はこのこともわかっていた。これも長年捜査にたずさわってきてわかることだった。その危険は刑事である彼が一番わかっていた。
だが、だった。今度はだ。その刑事の直感でこの男だと確信したのだ。
それでだった。部下達に言うのだった。
「こいつは今何処にいる」
「安アパートに住んでいます」
「都内、墨田の方のです」
「そこにです」
「わかった。それでだが」
ここでだった。中村は部下達にこうも話すのだった。
「その過去の事件の麻倉から手に入れた体液とだ」
「今回の一連の強姦殺人事件での犯人の体液ですね」
「それの照合ですね」
「それも頼む」
念を入れてだ。それも言うのだった。
「わかったな」
「はい、それはです」
「既に鑑識が出そうとしています」
「もうすぐわかります」
「そうか。それは何よりだ」
それを聞いて無表情に頷く彼だった。そしてその結果はだ。
「一致しました」
「ほぼ間違いないとのことです」
「麻倉のものです」
「血液型だけでなくです」
当然ながらそれも調べてのことだった。
「遺体に付着していた指紋もでした」
「全て麻倉のものです」
「何もかもが一致です」
「状況証拠は」
「揃ったな」
中村はこのことも確信したのだった。内心外堀を完全に埋めた気持ちになった。
「これでな」
「はい、それではですね」
「いよいよあいつを捕まえましょう」
「今から」
「行くぞ」
実際にだ。彼はここで立ち上がったのだった。
そしてそのうえでだった。麻倉のアパートに向かう。そこでだった。
部下達と共にそこに向かってだった。チャイムを鳴らすとだ。
すぐに麻倉が出て来た。やはり背が高く嫌な顔つきをしている。顔色は悪く肌も荒れている。目も濁り異様なものがそこにある。
そして安物のオーデコロンの香りをさせながらだ。中村の前に出て来てそれで言うのだった。
「何だよ、見つかったのかよ」
「御前が一連の事件の犯人だな」
「だったらどうするんだ?」
悪びれず中村にその言葉を返す彼だった。そう言いながらそのうえでだった。懐から煙草とジッポーライターを取り出した。火を点けてからまた話すのだった。
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