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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十二話 ゲルハルト・ヴィットマン
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官になったら。でもミュッケンベルガー元帥のお気に入りか……それはちょっと違うんだけどね」
 といって苦笑した。

僕の聞いた話では、グリンメルスハウゼン提督が頼りにならないのでミュッケンベルガー元帥が信頼しているヴァレンシュタイン大佐を参謀長に送りこんだと聞いたけど違うんだろうか?
 
 大佐の忙しさは半端じゃなかった。艦隊の物資補給の手続きから訓練計画の作成、各分艦隊からの苦情、要求の処理、総司令部との打ち合わせや事務連絡等、一日が二十四時間だけでは足りないくらいだった。実際休息はタンクベッドで一日二時間の睡眠だけで、あのまま行ったら体を壊していただろう。従卒の僕も付き合おうとしたんだけど、大佐は許してくれなかった。

「こんな馬鹿なことはしなくていい」
「でも大佐はしています」
「仕方ないね、馬鹿なんだから」
そう言って終わりだった。

 あの頃良く大佐が言っていたのは副参謀長のミュラー中佐のことだった。
「もうすぐナイトハルトがくるな〜。彼にも貧乏くじを引かせてしまった、怒るだろうな」
と辛そうに言っているので、つい好奇心で聞いてしまった。
「ナイトハルトというのはどなたですか」

「ナイトハルト・ミュラー中佐。この艦隊の副参謀長だ。私が彼を副参謀長にと頼んだんだ」
「親しいのですか」
「士官学校の同期生でね。信頼できる人間だよ」
と大佐が言うので
「それなら大丈夫ですよ、大佐の事を怒ったりしませんよ」
と生意気にも言ってしまった。大佐はどう答えていいかわからないようだった。

 ミュラー中佐が来たのは、僕が従卒になってから八日目のことだった。すぐ二人は参謀長室に入って打ち合わせを始めた。僕は飲み物を運んだけど二人とも落ち着いた感じで喧嘩とかはしてないようだった。しばらくして参謀長室から出てきた時、ヴァレンシュタイン大佐もミュラー中佐も笑顔を見せていた。よかった、ミュラー中佐は大佐の言うとおり信頼できる人だったみたいだ。

 実際それからのミュラー中佐はヴァレンシュタイン大佐を助けて八面六臂の活躍だった。なによりこれまでヴァレンシュタイン大佐が艦橋からいなくなるとすぐ怠けていたクーン少佐、バーリンゲン少佐、アンベルク大尉がミュラー中佐がいるので怠けられなくなった。嫌々でも仕事をしてくれれば少しでも助かる。ヴァレンシュタイン大佐とミュラー中佐は交代でタンクベッド睡眠を取りながら出兵の準備を整えた。一週間前、艦隊訓練も終了し訓練の総評も昨日で終わった。イゼルローンへ向けての出航は四日後だ。

打ち合わせが終わったらしい。ヴァレンシュタイン大佐は自室に戻るようだ。久しぶりにゆっくり休むのだろう。ミュラー中佐は宿直だ。いい機会だからミュラー中佐に話を聞いてみよう。
「ミュラー中佐、今いいですか」
「何
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