第四章
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「お母さんも名乗らなかったでしょ」
「そういえばそうね」
「あっちに電話番号が出ていてもね」
抗議先の八条製薬の電話にだ、電話をしてきた相手として。
「まあ他に抗議の電話が一杯来ていてね」
「その抗議した人の電話番号をいちいちなのね」
「覚えていないし」
「しかも私が名乗らなかったから、いや」
「名乗ったの?」
「そういえばそうかも。代わりの製品送るって言ってたし」
「それはまずいわね、まあね」
それでもとだ、ここでこうも言った陽子だった。
「お母さんが行ったってだけで」
「それだけのことだから」
「別に何もならないわよ、学校にいる私達までは」
「流石に」
「まあ安心していいわ。けれど社長さんが自分でね」
「電話で抗議受けるなんてね」
「そのことに驚いたわ」
普通はクレーム担当が出るからだ、会社にはこうした担当も存在しているのだ。真っ当な抗議が来るとは限らないのでこうした担当も必要なのだ。
「それだけこのことを深刻視しているってことかしら」
「会社として」
「だとするといい会社ね」
「社長さんなら忙しいのに」
「その忙しい中でよ」
あえてというのだ。
「自分も抗議を受けて対応するっていうのは」
「誠実ね」
「ええ、じゃあ今回のことはね」
ゴキブリホイホイのことはというのだ。
「無事に済みそうね」
「そう思うわ、伊藤投手がね」
その安定感がなかった彼が、というのだ。
「小山正明さんになるわ」
「また古い人出したわね」
「だって凄かったっていうから」
精密機械とまで言われたコントロールで知られている。安定感も抜群だった。
「だから名前出したの」
「そうなのね」
「まあとにかくね」
「ええ、ゴキブリホイホイはね」
「どうするの?ちゃんとした製品貰うの?」
「そうしようかしら。無償でっていうし」
富子は考える顔になって娘に答えた。
「それなら」
「交換してもらうのね」
「流石に今回は不良品ないだろうし」
「それじゃあね」
「ええ、そうしようかしら」
ゴキブリホイホイを交換してもらおうというのだ、実際に会社にゴキブリホイホイを交換してもらって家に置くと今度は抜群だった。一瞬間程置いたその中は。
富子はその中を見てだ、陽子を読んで満面の笑みで言った。
「いい感じよ」
「沢山捕まったのね」
「ええ、やっぱりいたのね」
当のターゲットがというのだ。
「それで捕まったのよ」
「今度は大丈夫だったのね」
「いいゴキブリホイホイよ」
「社長さんが抗議に誠実に出てしかもちゃんと製品を交換してくれる」
「なおしたうえでね」
「いい会社ね」
「そうね」
二人であらためてこのことを話した、そのゴキブリホイホイの中を見つつ。以後家からそうした
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